債務整理 弁護士コラム
競馬で借金まみれになり、返済できなくなる人が後を絶ちません。借金問題には債務整理が有効ですが、競馬などのギャンブルで借金を作った場合には、自己破産をしても免責されない可能性があることにも注意が必要です。
また、借金問題を解決するためには、本人が「競馬をやめる」という強い意志を持ち、弁護士に相談するなどして適切な解決方法を検討しなければなりません。
本コラムでは、競馬で作った借金を自力で解決する方法と、自力で解決が難しいときの対処法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
競馬で借金を作った場合でも、早期に対処をすれば、債務整理をせず自力で解決できる可能性があります。
まずは借金をこれ以上増やさないようにする必要があり、そのためには借金が返済できないときのリスクを知ることが大切です。
借金の返済ができなくなると、ほとんどの人は返済のために他社からも借入を重ねてしまいます。新たな借入にも利息が付くため、余計に返済が難しくなり、債権者からの督促も受けるようになるでしょう。最終的には、債権者から裁判を起こされた上で、給料や預貯金を差し押さえられることもあります。
給料が差し押さえられると職場にいづらくなり、退職を余儀なくされることもあるでしょう。借金問題が原因で家庭不和となり、離婚問題に発展することも珍しくありません。
このようなリスクを知れば、競馬をやめて借金返済に努めようという気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。
競馬などのギャンブルにハマってしまうと、お金があればあるだけ使ってしまいがちです。自分の意思だけで節制することが難しければ、家族にお金を管理してもらうとよいでしょう。
お小遣い制にして必要以上の金額を持ち歩かないようにしたり、無駄遣いをしたら注意してもらうようにしたりすれば、競馬にお金を使いすぎることの防止に役立ちます。
家族にお金を管理してもらっても、隠れて借金をして競馬を続ける人も少なくありません。借金をしてまで競馬をするようであれば、ギャンブル依存症に陥っている疑いがあります。
依存症は精神的な病気なので、医療機関で受診すべきです。まずは近くのクリニックなどで相談してみるのもよいでしょう。医師の指示に従い、必要に応じて専門的な依存症外来で治療を受けたり、自助グループに参加したりするなどして、依存症の改善に努めることをおすすめします。
競馬での支出を控えて借金返済に努めたとしても自力での解決が難しい場合には、債務整理を検討する必要があります。ただ、競馬で借金を作った場合は自己破産では解決できない可能性があることに注意しなければなりません。
競馬のために借金をすると、賭博をしたことによって過大な債務を負担したものとして、免責不許可事由に当たる可能性があります(破産法第252条1項4号)。免責不許可事由に当たると判断されれば、自己破産をしても原則として借金の返済義務は1円も免除されません。
ただ、借金の主な原因が生活費の不足や借金返済のためであり、競馬はたまにする程度であったようなケースでは、「賭博のために過大な債務を負担した」とまではいえず、免責が許可されることもあります。
競馬のためにどれくらいの借金をすれば「過大な債務を負担」したことになるのかという基準は、明確ではありません。しかし、競馬のために生活費にも事欠くようになって借金をしたようなケースでは、免責不許可事由に当たる可能性が高いといわざるを得ません。
免責不許可事由に該当する場合でも、諸般の事情が考慮され、裁判所の裁量による免責が許可される可能性はあります(破産法第252条2項)。このことを「裁量免責」といいます。
裁量免責を得るためには、競馬をやめて真摯に反省し、経済生活を改善することが必要です。一般的には裁判所から反省文と毎月の家計収支表の提出を求められ、その内容が精査され、裁量免責の許否が判断されます。
簡単には裁量免責が許可されないケースが多いので、競馬で作った借金で自己破産をしたい場合には、弁護士に依頼することが得策です。
ギャンブル依存症に陥っている場合には、精神科医が発行した診断書を裁判所に提出すれば、裁量免責が許可される可能性が高まります。依存症という病気のために、やむを得ず借金をしたものと判断されやすいからです。
とはいえ、診断後も競馬を繰り返しているようでは、経済的更生の見込みがないものとして、免責不許可となる可能性が極めて高くなります。必要な治療を受けて、依存症の改善に努めていることを陳述書や上申書などに記載して提出することも重要です。
自己破産で免責許可を得ることが難しい場合には、他の債務整理を検討しなければなりません。任意整理と個人再生では借金の使い道は問われないため、競馬で借金を作った場合でも利用可能です。
任意整理は、債権者と直接交渉して借金を減額する債務整理の方法です。一般的には、将来利息がカットされ、残った元金を3~5年で分割返済することになります。
債務整理の中では、借金を減額できる幅がもっとも小さいので、借金総額が比較的小さい場合に向いている手続きです。財産を処分する必要がないため、家や車など残したい財産がある場合にも向いています。
任意整理をするためには安定収入が必要ですが、本人の収入だけでは返済が難しい場合には、家族や親戚などからの援助を受けて返済していくことも認められます。
個人再生は、裁判所の手続きを利用して借金を大幅に減額できる債務整理の方法です。借金総額を原則的に5分の1から10分の1にまで減額することが可能で、減額後の借金は原則3年から最長5年で分割返済していきます。
借金総額が大きくて任意整理では解決が難しいけれど、自己破産もできないという場合には個人再生が向いています。
「住宅ローン特則」の適用条件を満たせば、個人再生によってマイホームを残すことも可能です。
個人再生をするためにも安定収入が必要ですが、家族や親戚などから確実に支援を受けられるのであれば、本人の収入が低くても利用できます。
競馬による借金問題では、ご自身ではなく家族が競馬にハマり、多額の借金を抱えているというケースも多々あります。家族が競馬で作った借金を弁護士に依頼して整理するためには、次の3点を考慮しましょう。
家族が作った借金を整理するには、借金を背負っている本人が弁護士に債務整理を依頼する必要があります。弁護士と依頼者との契約は「委任契約」であり、当事者同士の意思が合致した場合にのみ成立するものだからです(民法第643条)。
たとえ家族であっても、本人に無断で委任契約を結ぶことはできません。必ず本人が一度は弁護士と面談した上で、契約の意思確認を行うことが必要です。
借金を作った本人が弁護士に相談することに前向きではない場合には、家族が同行して相談することが有効です。本人に対して「法律相談に行きなさい」といっても拒否される場合でも、「一緒に行きましょう」と声をかけて予約をとれば、法律相談に対するハードルが下がることでしょう。
法律相談時には、家族が同席して話をすることにも問題はありません。本人と弁護士との間で契約の意思確認ができれば、債務整理の委任契約が成立します。
どうしても本人が法律相談に出向こうとしない場合には、まずは家族が代理で弁護士に相談してみることがおすすめです。相談だけなら、家族が代理で弁護士と話をしても問題はありません。
弁護士から解決方法についてのアドバイスを受けて、その内容を本人に伝えれば、債務整理に前向きになることもあるでしょう。本人を説得する方法についてアドバイスを受けることもできますし、必要に応じて、弁護士から本人に対して電話などで働きかけをすることも可能です。
競馬で借金を作った場合でも、状況に合った債務整理を選んで行えば、借金問題は解決できます。ただ、本人が競馬にのめり込んでいるような場合には、競馬をやめて生活を改善するために家族の協力も重要となります。
適切な解決方法を選んだり、競馬をやめない家族を説得したりするためには、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、経験豊富な弁護士がそれぞれのご事情を踏まえて丁寧に対応し、解決までサポートいたします。借金問題に関するご相談は何度でも無料ですので、競馬による借金問題でお困りの方は一度、当事務所へご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。