債務整理 弁護士コラム
キャッシングの返済方法や延滞してしまったときのルールについては、クレジットカードを作ったときの契約書に説明が書いてあるのですが、「実はちゃんと読んだことがない……」という方も多いのではないでしょうか。
キャッシングの契約書(約款)専門用語ばかりで説明されていて、法律知識のない人がきちんと理解するのは難しいというのが実際のところです。
ただ、貸付利息や延滞してしまったときの扱いなど、とても重要な内容が書かれていることは事実なので、「おおよそどういうことが書かれているのか?」についてはきちんと理解しておく必要があるでしょう。
この記事では、
•キャッシングを利用した際の返済方法
•クレジットカードのキャッシング以外でお金を借りる方法
•すでに返済が遅れてしまっている方向けの、借金の負担を減額してもらう方法
について、具体的な事例をもとに解説いたします。
キャッシングによる利息負担がどのぐらい大きなものかを知ると、「自分が実際に借りたお金以外に、こんなにたくさんのお金を払っていたなんて……」と感じる方が多いと思います。
借金の負担の大きさを知る上でも、キャッシングに関するくわしい知識を持っておくことはとても大切といえるでしょう。
この記事が、キャッシングの利用方法についてお悩みの方の参考になればうれしく思います。
クレジットカード会社からキャッシングによって借りたお金を返済する方法について、メリットやデメリットを順番に見ていきましょう。
一括返済は、その名の通り借りたお金を一回ですべて返済する方法です。
利息の負担なども最低限で済みますから、可能であればこの一括返済でキャッシングを返済するのがのぞましいでしょう。
キャッシングで借りたお金の金額によらず、毎月指定した金額を返済する方法をリボ払い(リボルビング払い)と呼びます。
リボ払いを選択した際に、指定した金額の内訳をどのように設定するかによって、元金定額払いと元利定額払いの2種類を選択できるケースが多いです。
元金定額払いは、元金を一定額に指定するリボ払いで、毎月の返済額は次の元利定額よりも高くなりますが、トータルでの利息の負担は小さくできます。
元利定額払いは、指定した毎月の返済額に、利息を含める返済方法です。
元金定額と比較すると、毎月支払う金額のうち元金が少なく設定されますから、返済金額は少なく済む一方でトータルでの利息負担額が大きくなります。
ボーナスの出る月にはまとまった金額を返済できるという場合、その月だけ返済額を増額することができます。
こうした支払いの仕方をボーナス併用払いと呼んでいます。
通常の月はリボ払いで定額を支払い、ボーナス月にはその定額にプラスして多くの金額を支払うといったように、柔軟な支払いの仕方を選ぶことが可能です。
通常の月は元利定額払いなどの形でリボ払いを行い、ボーナス月のみ元金定額で支払う方法です。
ボーナスのある月に返済する金額を大きくしたい場合には選択するメリットがあるでしょう。
キャッシングの返済方法(利息計算の方法など)については上で見た通りですが、実際にお金を支払う方法としては次のようなものがあります。
現金で返済を行いたい場合には、提携している金融機関やコンビニのATMにお金を入れる形でキャッシングの返済を行うことができます。
ATMから返済すると、利用明細のレシートなどが発行されますので、返したお金のうち、元金にいくら充当されているのかをよく確認しておくようにしましょう。
もし利息にしか充当されていない場合、お金を払っても借金の残高は変わっていないこととなります。
これをいくら繰り返しても借金はいつまでたっても減りませんから、毎月の返済額をもう少し多めにするよう見直してください。
あらかじめ指定した銀行口座から、指定した日時に引き落としが自動的にかかるよう設定することも可能です(クレジットカードのショッピング利用額が毎月引き落とされるのと同じです)。
引き落とし期日に銀行口座にお金が入っていないと、当然ながら引き落としがかからずに返済遅延となってしまいますから、必ずお金を入れておくようにしましょう。
あなたの銀行口座から振り込みでキャッシングの返済を行うことも可能です。
振込手数料などは先方負担となることが多い他、通常の振り込みとは違って15時以降でも当日支払いとできるケースが多いです(できないこともあります)
指定された返済期日までに振り込み手続きを完了するようにしましょう。
キャッシングを利用した場合、利用している日数に応じて必ず利息を支払わなくてはなりません。
また、毎月の返済期日までに返済ができなかったような場合には、遅延損害金という形でコストが発生する場合もあります。
以下では、キャッシングを利用した場合の利息や手数料の計算方法について理解しておきましょう。
キャッシングでお金を借りた場合、「年〇%」という形で貸付金利が設定されます。
貸付金利は日割り計算で負担しなくてはなりませんから、たとえば借りた日数が1日だけであっても、「年利〇%÷365日」の金額の利息が発生することとなります。
たとえば、100万円のお金を年利10%で借り、30日後に返済したという場合、利息を計算すると以下のようになります。
利息額=100万円×10%÷365日×30日=8219円
キャッシングの返済で提携しているコンビニのATMなどを使った場合には、手数料という形で数百円の利用料がとられることがあります(通常は100円または200円程度の金額です)
なお、手数料には消費税が含まれます。
あらかじめ指定された返済期日に支払いができなかったような場合、返済が遅れた日数に応じて、遅延損害金を取られることがあります。
これは上で見た貸付金利に加算されて徴収されるもので、利率も20%などの非常に高い金利に設定されていることが多いです。
遅延損害金は返済が遅れた日数に応じて負担する必要がありますから、返済が遅れれば遅れるほど負担が大きくなっていくことに注意しなくてはなりません。
クレジットカードのキャッシング以外にも、金融機関からお金を借りる方法はあります。具体的には、消費者金融や銀行で利用できるカードローンを使う方法が代表的です。
それぞれの金融機関でどのような違いがあるのかについて、順番に見ておきましょう。
アコムやプロミスといった消費者金融では、無担保で利用目的の制限がないカードローンを利用することができます。
無担保とは保証人などが必要ないという意味で、利用目的の制限がないので、たとえば生活費や遊興費といった目的でお金を借りるのも問題ありません。(利用目的に制限があるローンとは、たとえばマイホームを購入するための住宅ローンや、車を購入するためのマイカーローンがあります)
なお、消費者金融のカードローンを利用するためには、申し込みをする人本人に収入がある必要があります。
消費者金融からの借り入れの場合、総量規制(年収の3分の1までの金額しか借りられないというルール)が適用されるからです。
専業主婦の人などは、配偶者に収入があったとしても消費者金融では借り入れができないので注意しておきましょう(次で見る銀行カードローンなら、専業主婦の人もお金を借りられる可能性があります)。
三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行といった銀行も、一般個人向けにカードローンとして無担保の貸し付けを行っています。
銀行のカードローンは、消費者金融などと違って総量規制のルールが適用されません。
そのため、借り入れをする銀行の貸し付け条件にさえ合致すれば借り入れができますので、専業主婦の方などであってもお金を借りられる可能性があります。
便利なようですが、しっかりと返済計画を立てたうえで利用しないと、多重債務となってしまう可能性がありますので注意が必要です。
なお、銀行カードローンは消費者金融と比べて貸付金利がやや低いことが多いです。
キャッシングの返済が約束通りの期日にできない場合、さまざまな面でデメリットを受けることになってしまいます。
返済が遅れた場合、次のような流れで督促の手続きが行われることが多いでしょう。
キャッシングの返済を期日までに行わなかった場合、お金を借りた金融機関から、あなたの携帯電話に対してまず督促の電話が来るようになります。
もしこの電話を無視してしまったような場合、自宅の固定電話に連絡が入る他、自宅にはがきによる督促が届くこともあります。
家族に借金をしていることを内緒にしているような場合には注意しておきましょう。
督促の電話が来た時点で「この日にお給料が入るので、この日には必ず返済できる」というように、返済期日を明確に約束しておけば、こうした事態に発展することは防ぐことが可能ですから、誠実に対応するようにしてください。
すでに返済が遅れているキャッシングを放置し続けた場合、分割払いから一括返済に切り替えられてしまう可能性があります。
一括返済とは、簡単にいえばまとめて支払うように請求してくることを言います。借金の契約書で「期限の利益の喪失」という内容でルールが定められていることが多いです。
分割でも払えないものは当然ながら一括で返済するのは難しいですから、これは事実上の裁判手続きへの移行と同じです。
一括返済の連絡後も無視し続けた場合、今度は裁判所(簡易裁判所)を通じて支払督促という請求書が届く可能性が高いです。
これはその名の通り裁判所を通じて法的に請求を行うもので、異議がある場合には指定した日時までに裁判所に対して申し立てをしなくてはなりません。
裁判所の督促も無視してしまったような場合、最悪のケースでは債権者があなたの財産やお給料に差し押さえの手続きを取ってくることがあります。
差し押さえとはあなたがあなたの財産を自由に処分する権利を一部制限する法的手続きです。
給与の差し押さえをされても給与全額が受け取れなくなるわけではありませんが、あなたが勤務先に借金の返済ができない状態であることを知られてしまいますので、大きな不利益を被ることになってしまいます。
この記事を読んでいらっしゃる方の中には、すでに借金の金額がかなり高額になってしまい、毎月の返済が遅れがちになっている……という方もおられるでしょう。
ここからは、大きくなりすぎてしまった借金返済の負担を減らすための方法について解説いたします。
あなたの収入だけで返せなくなってしまった借金は、弁護士や司法書士に依頼して「債務整理」の手続きを行うことにより、減額や免除を認めてもらうことが可能です。
借りたお金は契約の通りに返済しないといけないのが大原則ですが、どうしても借金を返せなくなってしまった場合に、その借金の負担を負わせ続けることは適切ではありません。
そのため、どうしても返せなくなった借金については、法律のルールに従って裁判所へ申し立てを行うことにより「借金の一部または全部を免除する」という命令を出してもらうことができるのです。
裁判所の命令はすべての人が従う人がありますので、当然ながら消費者金融などの金融機関から借りているお金も免除してもらえることとなります。
債務整理はだれでも合法的に借金の負担を減らしてもらえる方法ですから、ぜひ利用を検討してみてください。
債務整理には、具体的には任意整理・個人再生・自己破産の3つの手続き方法があり、これらの中からあなたの状況に合った方法を選ぶことができます。
任意整理は、債権者と直接交渉を行うことによって和解契約を結ぶ方法で、金融機関が債権者である場合には利息の免除という形で借金の負担を減らしてもらえます。
なお、債権者との交渉などは弁護士や司法書士といった法律家に依頼するのが一般的です。
個人再生は、借金の金額をおおむね5分の1程度にまで減額してもらえる方法です。
マイホームを手放すことなく借金の減額を認めてもらえる方法などもありますから、持ち家があるけれど借金の負担を減らしてほしいという人に適しています。
最後の自己破産は、文字通りすべての借金を免除(0円にしてもらうこと)してもらえる方法です。
持ち家や自動車といった所有財産は換金して債権者に引き渡さないといけないというデメリットがありますが、借金の負担から逃れて新しくスタートを切りたいという方には適した方法といえるでしょう。
債務整理は、法律上はあなた自身が手続きを行うことも可能となっていますが、実際の手続きでは多くのケースで法律家のアドバイスが必要となります。
債務整理を依頼できる法律家としては、弁護士と司法書士がありますが、司法書士の場合は依頼できる事件の金額に制限があるのに注意が必要です(具体的には借金1件あたり140万円)。
借金がかなり大きな金額となってしまっている方は、弁護士の事務所に債務整理の手続きを相談してみてください。
今回は、キャッシング返済に関するルールや、大きくなりすぎてしまった借金を解決するための方法について解説いたしました。
クレジットカードのキャッシングや、消費者金融のカードローンを利用した場合、非常に多くの利息を負担しなくてはならなくなります。
リボ払いなどによって1回あたりの返済額を小さくすることはついやってしまいがちですが、その分だけ利息の負担が大きくなってしまうことを理解しておきましょう。
もし、すでに返せない金額にまでキャッシング残高がふくらんでしまっている…という場合には、本文で説明した債務整理を使って借金の負担を減らしてもらうことも検討してみてください。
債務整理の手続きは弁護士に相談すれば、あなたの状況に最適な方法を提案してもらうことが可能です。借金でお悩みの際は、ぜひベリーベスト法律事務所にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。