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支払督促が裁判所から届いたらどうなる? すぐにとるべき対応・注意点

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更新日:2025年09月25日 公開日:2025年09月25日

支払督促が裁判所から届いたらどうなる? すぐにとるべき対応・注意点

借金を返済しないと裁判所から支払督促が届くことがあります。

支払督促とは、強制執行の前段階の手続きです。支払督促を無視・放置していると預貯金や給料の差し押さえられるリスクが高まるため、そのままにしてはいけません。

支払督促が届いたときは、2週間以内に返済または異議申し立てをすれば、差し押さえのリスクをいったんは回避できます。弁護士に相談するなどして速やかに行動することが大切です。ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、裁判所から支払督促が届いたらどうなる?

突然、裁判所から支払督促が届いたらパニックになってしまう方もいるかもしれません。

まずは、支払督促とはどのようなものなのか、支払督促を無視・放置するとどのようなリスクがあるのかをみていきましょう。

  1. (1)支払督促は強制執行を目前にした措置

    支払督促とは、債権者からの申立てに基づいて書面審査のみで金銭などの支払いを命じる簡易的な裁判手続きです。

    通常の訴訟よりも時間や費用をかけずに債権回収を図ることができるため、借金の取り立てなどに広く利用されています。

  2. (2)「支払督促」と「仮執行宣言付き支払督促」の違い

    裁判所から発行される支払い督促は、「支払督促」と「仮執行宣言付き支払督促」2種類あります。

    「支払督促」と「仮執行宣言付き支払督促」の概要

    手続きの流れ 債務者がすべきこと
    支払督促 督促の発行を債権者が申立てる。「○○円を払ってください」と債権者の主張に基づいた内容で、裁判所が作成。 債務者が異議申し立てをできる段階。郵便局が配達した日(不在票が入った日を含む)から2週間以内に裁判所に「異議申立書」を提出する。郵送・持参どちらでも可。
    仮執行宣言付き支払督促 支払督促から2週間以内に異議がなかった場合、債権者が再度申請する。裁判所が「仮執行宣言」を督促状に付け加えて発行される。 この段階でも、まだ異議申し立ては可能。期日は支払い督促と同様の2週間。

    「仮執行宣言付き支払督促」は、確定判決と同様の効力がありますので、債務者が任意に支払いに応じないときは、強制執行を申し立てられ、預貯金や給料などを差し押さえられてしまいます。

    裁判所から届く支払督促は、およそ以下のような書面になります。

    令和〇年(ロ)第〇〇〇号

    支払督促

    当事者の表示、請求の趣旨・原因は、別紙記載のとおり。
    債務者は、請求の趣旨記載の金額を債権者に支払え。
    この支払督促送達の日から2週間以内に、債務者が督促異議を申し立てないときは、債権者の申立てによって仮執行宣言をする。

     令和〇年〇月〇日

      〇〇簡易裁判所
        裁判所書記官〇〇〇〇


      上記は正本である。
        同日同庁
        裁判所書記官〇〇〇〇


    [注意]
    本件につき差し出す書面には上記の事件番号を記入してください。
  3. (3)支払督促の対象となるもの

    支払督促は、紛争の対象となっている金額にかかわりなく、以下のような金銭の支払いを求めるケースが対象になります。

    • 貸金、立替金
    • 売買代金
    • 給料、報酬
    • 請負代金、修理代金
    • 家賃、地代
    • 敷金、保証金
  4. (4)支払督促を無視した場合のリスク

    裁判所から支払督促が届いたにもかかわらず、無視していると、原則として「支払督促が確定(=確定判決と同じ効力)」します。

    確定後は、具体的には以下のようなリスクが生じます。

    ① 財産を差し押さえられるリスク
    支払督促が確定した後も債務者が返済をしない場合、債権者は強制執行の申立てが可能になり、財産(預貯金、給与、不動産、車など)を差し押さえられるリスクがあります。

    ② 時効が更新されるリスク
    借金は、長い間返済せずにいると「時効」によって支払い義務がなくなることがあります。
    しかし、支払督促が確定すれば「時効の更新」となります。時効の更新とは、文字通り“新たに10年が経過しなければ再び時効になることはない”ということです。
    支払督促を確定させないためには、督促状が届いてから2週間以内に裁判所への異議申し立てが必要です。「わからないから」「面倒くさいから」と無視すれば、時効の利益を受けられなくなるリスクがあるでしょう。

2、支払督促が届いた際にとるべき対応│支払い・異議申し立て

裁判所から支払督促が届いたら、速やかな支払い、または異議申し立てのいずれかの対応が必要になります。

  1. (1)支払期限までに支払う

    支払督促による請求額を返済することが可能であれば、できるだけ早く支払いを完了させましょう。

    支払督促を受け取ってから2週間以内に、以下の手順で支払いを行ってください

    • ① 債権者に連絡して支払いの意思があることを伝える
    • ② 債権者から返済方法(振込先の口座情報など)、返済金額を教えてもらう
    • ③ 指定された方法により債権者に支払いをする
    • ④ 支払後は債権者に支払い完了の連絡を入れる


    債権者が支払いを確認できれば、支払督促は取り下げられます。

  2. (2)期限内に支払いができないときの対応

    債権者への支払い意思はあるものの、2週間という期限内に全額を支払うことが難しいときは、支払督促に対する異議申し立てを行います

    異議申し立てというと支払いを拒否する場合に利用する手段のように感じるかもしれませんが、分割払いなどの和解を前提として異議申し立てをすることも可能です。

    異議申し立てをする場合も“支払督促が届いてから2週間以内”にするよう注意しましょう。2週間の期限を過ぎると異議申し立てができなくなりますので、なるべく早く対応することが重要です。

  3. (3)返済能力がなく支払いができないときの対応

    そもそも返済能力がなく支払うことができないという場合でも、支払督促に対する異議申し立てを行います

    このようなケースで利用される異議申し立ては、あくまで差し押さえを回避するための時間稼ぎですので、異議申し立て後はすぐに弁護士に相談して債務整理の手続きを進めていくようにしましょう。

    なお、異議申し立ての具体的な手順は、次章で詳しく説明します。

3、異議申し立ての手続きと注意点

裁判所から届いた支払督促に対して異議申し立てをする場合の手続きの流れとその際の注意点について説明します。

  1. (1)異議申し立ての流れ

    裁判所から支払督促が届いた場合、以下のような流れで異議申し立てを行います。

    • ① 督促異議申立書を作成する
    • ② 裁判所に督促異議申立書を提出する
    • ③ 通常の民事訴訟手続きに移行する


    ① 督促異議申立書を作成する
    督促異議申立書は、裁判所から届いた支払督促に同封されています。督促異議申立書と書かれた用紙を利用して、督促異議申立書を作成しましょう。

    督促異議申立書の主な記載事項は、以下のとおりです。

    • 作成日
    • 当事者情報(債権者の氏名、債務者の氏名・住所・連絡先)
    • 送達場所
    • 事件番号
    • 異議の理由


    ② 裁判所に督促異議申立書を提出する
    督促異議申立書の作成ができたら、事件を管轄する簡易裁判所に督促異議申立書を提出します
    なお、督促異議申立書の提出方法は、窓口で直接提出する方法と郵送で提出する方法の2種類があります。

    ③ 通常の民事訴訟手続きに移行する
    支払督促に対する異議申し立てが受理されると支払督促は効力を失い、通常の民事訴訟手続きに移行します
    分割払いなどの和解を希望するならその旨の答弁書を提出するとよいでしょう。記載方法がわからない、対応に不安がある場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)異議申し立ての必要書類

    支払督促に対する異議申し立てをするには、以下の書類を裁判所に提出します

    • 督促異議申立書
    • (弁護士に依頼する場合)委任状


    督促異議申立書は、支払督促に同封されています。その用紙を使って異議申し立てを行うようにしましょう。

  3. (3)2週間の期限を厳守する

    支払督促に対する異議申し立てをすることができるのは、支払督促を受け取ってから2週間以内です。2週間の期限を過ぎてしまうと、仮執行宣言付き支払督促が発布され、強制執行されるリスクがあります

    そのため、異議申し立てをしようとお考えの方は、2週間の期限を厳守するようにしてください。

4、弁護士に相談するメリットと依頼のタイミング

裁判所から支払督促が届いたときは、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)支払いができないときのアドバイス(債務整理)を受けられる

    裁判所から支払督促が届いても債権者への返済をするだけの経済的余裕がないという場合は、債務整理を検討しなければなりません。

    債務整理の方法としては、任意整理、自己破産、個人再生の3つがあり、それぞれ異なる特徴がありますので、ケースによって選択すべき手段が異なってきます。弁護士に相談すれば具体的な状況に応じた最適な債務整理の方法を知ることができます。

    自分に合った債務整理を実行するためにも、まずは債務整理の実績がある弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)債権者との交渉代行を頼める

    債権者への支払いが可能である場合でも時効の可能性がありますので、すぐに支払うのではなく一度弁護士に相談すると安心でしょう。

    弁護士に相談すれば時効が成立しているかどうかを正確に判断でき、時効が完成している事案であれば弁護士が代理人として時効の援用通知を送ることが可能です

    また、時効が完成しておらず債権者への支払いが必要なケースでも、引き続き弁護士が債権者との交渉を行えるため、分割払いなどの希望を実現できる可能性が高くなるでしょう。

  3. (3)依頼タイミングは督促が届いてすぐ!

    支払督促に対する異議申し立てをするには、支払督促を受け取ってから2週間という期限があります

    期限が過ぎてからでは異議申し立てができませんので、裁判所から支払督促が届いたらすぐに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

5、まとめ

裁判所から支払督促が届いたら絶対に無視・放置してはいけません。支払督促を無視・放置すると預貯金や給与などの財産を差し押さえられてしまうリスクがありますので、支払督促を受け取ってから2週間以内に適切な行動をとる必要があります。

債権者への返済が難しい場合には、早めに債務整理を検討することが重要です。まずは債務整理の解決実績があるベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 13万1237件
  ※集計期間:2010年12⽉〜2024年12⽉末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約410名の弁護士が在籍
※2025年4月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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