債務整理 弁護士コラム
銀行ローンは、消費者金融からの借金とは異なり安心感がある上に金利(利息の割合)も消費者金融に比べると低い場合が多いので、利用者も数多くいます。しかしながら、銀行ローンには総量規制(借り入れできる金額の上限を定める制度)が適用されないこともあり、つい借りすぎて返済が困難となるケースも少なくありません。
借金の返済が難しくなった場合は、任意整理で毎月の返済額を減額することが有効です。銀行ローンも基本的に任意整理の対象となりますが、消費者金融とは異なる点に注意が必要です。
そこで今回は、
・ 銀行ローンを任意整理できるケース
・ できないケース
を明らかにした上で、
・ 任意整理するときのデメリット
・ 注意点
について解説します。
任意整理とは、債権者と直接交渉して今後の返済額、返済方法などを変更する手続きのことです。
銀行ローンのうち、カードローンについては消費者金融からの借金と同様に任意整理できますが、担保付きローンについては事実上、任意整理ができないこともあります。
銀行カードローンは、銀行が消費者金融と同じように無担保で、限度額の範囲内で繰り返し貸し付けを行うものです。
銀行(多くのケースでは銀行カードローンの保証会社)も借金の返済額や返済方法の交渉に応じますので、銀行カードローンについては支障なく任意整理ができます。
担保付きローンの場合は、任意整理を申し入れると担保権(お金を借りた人が返せなかった場合に備えて貸した側が設定するもの)が実行されるため、事実上は任意整理できないことが多くなります。
たとえば、住宅ローンの場合は抵当権(住宅ローンが払えない場合に備えて家や土地に設定するもの)が実行され、住宅が競売にかけられてしまいます。事業性ローンでは一般的に連帯保証人が付いているため、連帯保証人が返済の請求を受けてしまいます。
もっとも、担保権の実行を覚悟した上で任意整理をすることは可能です。たとえば、住宅ローンの返済が難しくなった場合、
などで自宅を換金して返済に充て、残った借金の返済方法を銀行と交渉することが考えられます。
銀行カードローンを任意整理する場合でも、消費者金融と任意整理をする場合とは異なり、以下の点に注意が必要です。
任意整理では基本的に、将来利息(任意整理の和解成立後、借金の完済までの間に残りの借金に対して発生する利息)をカットして借金の元本を3年~5年で分割返済することになります。
銀行カードローンの場合、将来利息の金利が消費者金融よりも低いため、任意整理をしても消費者金融の場合ほどには返済額が減りません。
また、銀行カードローンでは返済期間がもともと5年以上に設定されていることも多く、その場合には任意整理をしても返済期間の延長が認められません。したがって、毎月の返済額がほとんど減らないケースもあります。
消費者金融の場合は、2007年まではほとんどの業者が利息制限法の上限を超える違法金利で貸し付けを行っていため、借主が利息を払いすぎていました。
任意整理をする際には、払いすぎた利息は元本に充当できます。元本に充当しきれなかった利息がある場合は、「過払い金」として取り戻すことができます。
これに対して銀行カードローンの場合は、もともと利息制限法の範囲内でのみ貸し付けを行っていたため、過払い金が発生することはありません。
銀行カードローンには、保証会社が付いています。カードローンの返済ができなくなると、保証会社が債務者に代わって残債務を銀行に支払います。このことを「代位弁済」といいます。
代位弁済をした保証会社は、債務者に対して求償権(ある人のために不利益を受けた人がその人に対して返還や弁済を求める権利)に基づく返済を請求できるようになります。そのため、銀行カードローンを任意整理した場合には、保証会社が交渉相手となります。
銀行カードローンの保証会社となっているのは、主にその銀行と同一グループのクレジットカード会社や消費者金融です。それらの業者も利用している場合は、原則として、その
なども一緒に任意整理しなければなりません。
カードローンを利用している銀行に預金口座を開設している場合は、任意整理を申し入れると、その時点で預金口座が凍結されてしまいます。なぜなら、債権者である銀行は債務者の
を相殺することができるからです。
預金口座が凍結されると、生活費を引き出すことができなくなり、公共料金等の引き落としも停止されます。口座凍結は一般的に1~3か月ほど続き、その後は元どおりに口座を利用できるようになります。
銀行に限りませんが、任意整理をした業者とは、その後の信用取引ができなくなります。そのため、銀行ローンを任意整理すると、今後はその銀行のローンを利用できなくなります。
なお、任意整理をした後は信用情報機関に事故情報が登録されるため、あらゆる銀行のローンを利用できません。しかし、事故情報はやがて消去されるので、その後は他の銀行のローンは利用可能となります。
しかし、任意整理の相手となった銀行では社内に事故情報が残り続けるため、その後もローンの利用ができないままです。任意整理後に
などを利用したい場合は、他の銀行の商品を探す必要があります。
銀行ローンの任意整理には消費者金融との任意整理と比べてデメリットが多いですが、それでも以下のメリットは得ることができます。
銀行ローンの任意整理でも、将来利息はカットしてもらえます。そのため、消費者金融との任意整理の場合ほどではありませんが、返済の負担を軽減することができます。
借入額が50万円の場合、
程度です。
たとえば
このような場合、将来利息のカットによって返済総額が約20万円減少します。60回払いで和解すると、毎月の返済額も約3400円減ります。
銀行との任意整理における返済期間は、基本的に最長で5年です。しかし、状況によっては約定の返済期間を延長できることもあります。
たとえば、返済期間7年で借りた銀行カードローンについて、残り3年で返済できなくなった場合には、返済期間を5年に延ばしてもらうことが可能です。そうすることによって毎月の返済額が減るので、完済を目指せるようになります。
たとえ返済の負担をさほど軽減できない場合であっても、任意整理をすれば差し押さえの回避が可能です。
返済できなくなった銀行カードローンを放置していると、代位弁済をした保証会社に裁判を起こされ、最終的には財産を差し押さえられます。いったん差し押さえを受けた後では、任意整理を申し入れても差し押さえが解除となることはありません。
しかし、裁判を起こされる前であれば、保証会社も任意整理の交渉に応じてくれます。和解が成立し、約束どおりに返済していけば差し押さえを受けることはありません。
任意整理によって登録された事故情報が信用情報機関から消去されると、他の銀行のローンを組めるようになります。任意整理による事故情報の登録期間は5年です。
いつから5年かについては以下のように2つのケースがあります。
保証会社によって取り扱いが異なるため、一概にはいえませんが、最長で「完済から5年」ということになります。
実際に銀行ローンを申し込む際には、事前に信用情報機関で情報開示請求をし、事故情報が消去されているかどうかを確認するようにしましょう。
銀行ローンでも無担保のカードローンは任意整理が可能ですが、消費者金融との任意整理のようには返済額が減りにくいという特徴があります。
滞納を続けていた場合には遅延損害金が加算されるため、返済額が増えることもあります。その場合には任意整理では解決できず、個人再生または自己破産をすることにもなりかねません。銀行ローンの返済が苦しくなったら、早めに弁護士に相談し、最適な解決方法についてアドバイスを受けることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、いつでもご気軽にお問い合わせください。
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任意整理は、債権者と将来利息の免除や返済期間の延長などについて交渉することにより、毎月の返済額を減らすことが可能な手続きです。
しかし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、ETCカードも使えなくなるのではないかと心配する方もいらっしゃることでしょう。特に、仕事や生活などでETCの利用が必要な方にとっては、切実な問題です。
この記事では、任意整理をするとETCカードが使えなくなるのか、一般的なETCカードが使えなくなるとしても、他にETCカードを利用する方法はないのかについて解説していきます。
借金の返済が厳しくなってきたら「任意整理」という方法で、返済の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、任意整理を検討している方の中には、弁護士に依頼した際の費用がどのくらいかかるかわからずに、依頼を躊躇しているという方もいるかもしれません。そのような方は、任意整理の費用相場をしっかりと理解しておくことで、安心して弁護士への依頼に踏み切ることができるでしょう。
今回は、任意整理の費用相場と費用の支払いが不安な場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
任意整理は、借金などの債務の負担を軽減できる手続きです。借金返済が困難になってしまった方は、任意整理を検討するとよいでしょう。
なんとなくの印象で「任意整理はやばい」と言われることもあるようですが、決してそんなことはありません。正しい知識と情報をもとに、任意整理を行うべきかどうかを判断しましょう。
本記事では、任意整理のメリットとデメリットを踏まえて、任意整理は本当に「やばい」のかどうか、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。