債務整理 弁護士コラム
任意整理は、貸金業者等との交渉によって返済条件を決め直すという債務整理の方法です。双方が納得する条件で「和解」が成立してはじめて、借金が減額されます。
自己破産や個人再生では裁判所の決定によって強制的に借金が減免されるのに対して、任意整理は話し合いの手続きなので、強制的に和解を成立させることはできません。
本コラムでは、
・任意整理で和解ができない5つの原因
・債権者と和解できないときの対処法
などについて、債務整理に関する事案の経験が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
任意整理においては、そのままでは返済を継続することが難しくなった借金の返済条件について、債権者と債務者が新たに合意した内容で「和解」を結ぶことになります。
そこでまずは、任意整理における和解にはどのような意味があるのかを確認しておきましょう。
法律上の「和解」とは、民事上のトラブルの当事者が、お互いに譲歩することによって争いを止めるという契約のことをいいます。任意整理では、債権者と債務者が譲歩し合い、双方にとってメリットがある場合に和解が行われます。
債権者にとっては、債務者に
などを選択されるよりも、多少は返済額が減ってしまってでも和解をした方が、より多くの債権を回収できます。
債務者にとっては、返済の継続が可能な程度に返済額を軽減してもらえれば、差し押さえなどの不利益を回避して生活を維持することが可能となります。
任意整理における和解では、具体的に以下の内容について取り決めます。
上記における「期限の利益」とは、支払期限までは債務を支払わなくてよいという、債務者にとっての利益を指します。分割払いを定めた場合、毎月の返済を怠らない限り、残りの借金はまだ返済しなくてよいという利益が与えられます。
ただ、債務者が毎月の返済を怠る場合であっても期限の利益を認めることは公平ではありません。そこで、ほとんどのケースでは「毎月の返済を2回以上怠った場合は期限の利益を失い、残額に遅延損害金を付して一括して支払う」という条項が設けられます。
遅延損害金とは、債務者が借金の返済を滞納してしまった場合に払わなくてはならない損害賠償金のことです。
清算条項とは、その借金について、和解書に定める内容の他には「何らの債権債務もない」ことを相互に確認するために設けられる条項のことです。
任意整理で和解するためには、双方にとってメリットが認められる必要があります。具体的には、次の3点が条件となります。
いずれかの条件を満たさない場合、債権者にとってのメリットが乏しくなるので、和解することが難しくなります。
任意整理で和解ができない原因は、主に以下の5つです。
任意整理では、減額後の借金を原則として3年~5年で完済することが求められます。それを超えて長期に及ぶ場合は、多くの債権者が「債権回収の見込みが薄い」と判断するため、和解に応じてもらうことは難しくなります。
たとえば、返済総額が300万円の場合は、毎月5万円を継続して返済できる程度の収入が必要です。
任意整理は話し合いの手続きですから、和解に応じるかどうかは債権者の意向次第です。一般的に、以下のケースでは和解に応じないか、和解条件がより厳しくなる傾向にあります。
稀にですが、会社の方針として任意整理の和解には一切応じない貸金業者も存在します。
任意整理前に滞納を続け、すでに給料や預金口座など財産の差し押さえを受けている場合も、和解に応じてもらえることはほとんどありません。
債権者としては、労力と費用をかけて差し押さえの手続きをしているので、もはや和解に応じるメリットがないからです。
貸金業者からの借金やクレジットカードの利用代金は、条件次第で任意整理の和解が可能です。それに対して、以下のような債務はその性質上、任意整理の対象にはなりません。
ちなみに
については役所に相談することで延納や分納が可能な場合もあります。
また
についても、相手方との交渉で減額や分割払いが認められる可能性があります。ただし、これらの債務は借金とは性質が異なるため、任意整理で和解することはできません。
任意整理を弁護士に依頼せず、債務者本人が交渉した場合も、和解することが難しくなるケースが少なくありません。
多くの債権者は自分で交渉する債務者に対しては、
など、厳しい和解条件を要求する傾向にあります。
返済の負担があまり減らないのであれば、債務者にとってメリットが薄いため、和解が難しくなるのです。
任意整理で和解できない債権者がいるときでも、以下のように対処すれば借金問題の解決は可能です。
任意整理では、自己破産や個人再生とは異なり、どの債権者を手続きの対象とするかを自由に選べます。そこで、複数社から借り入れをしている場合は、和解できる債権者とだけ和解することが考えられます。
たとえば、借入先5社のうち1、2社と和解できなくても、他の3、4社との和解によって返済の負担を軽減できれば、全体的には返済の継続が可能となる場合もあるでしょう。
和解に応じない債権者が多い場合や、3年~5年で完済が見込める程度の収入がない場合には、自己破産または個人再生を検討してみましょう。自己破産および個人再生では、一定の条件を満たせば裁判所の決定によって強制的に借金が減免されます。そのため、和解に応じてもらえるかどうかを気にする必要はありません。
ただし、借金の使い道に
などの問題がある場合は注意が必要です。
自己破産では債権者から免責に異議を出されることによって、免責が許可されなくなる可能性があります。小規模個人再生では、再生計画案に対して債権者の多数から不同意の意見が出されると、認可決定が得られません。
どの債務整理手続きが適しているかは事案の内容によって異なりますので、弁護士に相談して確認することをおすすめします。
任意整理をする場合でも、弁護士に依頼した方が有利な条件で和解が成立しやすい傾向にあります。
弁護士が介入した場合、債権者が債務者本人に返済の請求を直接することは法律で禁止されています。債権者としては、弁護士と和解するかまたは裁判をした上で差し押さえ手続きをしなければ、債権を回収することができません。ほとんど債権者は、基本的に弁護士と和解する方を選択します。
また、弁護士が専門的な知識と高度な交渉力を用いて交渉することによって、
など、有利な和解条件を導き出すことも期待できます。
借金の返済が苦しくなり、複数の消費者金融から借り入れて返済するようになると、見る見るうちに借金が膨れ上がってしまいがちです。滞納すると、遅延損害金も加算されます。そうなると、「3年~5年で完済が見込める」という和解条件を満たすことが難しくなります。
したがって、任意整理で和解するためには、早期に手続きを行うことも重要となります。借金の返済が苦しくなったら、早めに弁護士に相談して対処することが借金問題解決のポイントといっても過言ではありません。
任意整理は、簡易的な手続きで借金問題を解決できる可能性があるという点で、自己破産や個人再生よりもメリットのある債務整理の方法です。しかし、和解できるかどうかで悩んでいると借金が増えてしまい、任意整理で解決することが難しくなるおそれがあります。そのため早めに弁護士に相談することが得策であるといえます。
ベリーベスト法律事務所では、任意整理をはじめとする債務整理のご相談は何度でも無料でご利用いただけます。借金の返済が苦しくなった場合は、お気軽にお問い合わせください。
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任意整理は、債権者と将来利息の免除や返済期間の延長などについて交渉することにより、毎月の返済額を減らすことが可能な手続きです。
しかし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、ETCカードも使えなくなるのではないかと心配する方もいらっしゃることでしょう。特に、仕事や生活などでETCの利用が必要な方にとっては、切実な問題です。
この記事では、任意整理をするとETCカードが使えなくなるのか、一般的なETCカードが使えなくなるとしても、他にETCカードを利用する方法はないのかについて解説していきます。
借金の返済が厳しくなってきたら「任意整理」という方法で、返済の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、任意整理を検討している方の中には、弁護士に依頼した際の費用がどのくらいかかるかわからずに、依頼を躊躇しているという方もいるかもしれません。そのような方は、任意整理の費用相場をしっかりと理解しておくことで、安心して弁護士への依頼に踏み切ることができるでしょう。
今回は、任意整理の費用相場と費用の支払いが不安な場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
任意整理は、借金などの債務の負担を軽減できる手続きです。借金返済が困難になってしまった方は、任意整理を検討するとよいでしょう。
なんとなくの印象で「任意整理はやばい」と言われることもあるようですが、決してそんなことはありません。正しい知識と情報をもとに、任意整理を行うべきかどうかを判断しましょう。
本記事では、任意整理のメリットとデメリットを踏まえて、任意整理は本当に「やばい」のかどうか、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。