債務整理 弁護士コラム
「買いたい品物があるけれど手持ちのお金が・・・」というときに便利なのがショッピングローンです。
たとえば、パソコン・冷蔵庫といった電化製品などを家電量販店で購入するときの分割払いのほとんどは、提携する信販会社のショッピングローンです。
テレビ通販・ネット通販などの分割払いの多くも同様です。
しかし、便利で分割可能だからといって、高額な買い物を無計画に続けてしまえば、返済に行き詰まってしまう可能性も高くなります。
そのような場合には、消費者金融からの借り入れやクレジットカードの支払いの場合と同様に債務整理で解決することが可能です。
この記事では、ショッピングローンのメリット・デメリットや返済できなくなったショッピングローンを債務整理する場合の注意点などについて解説していきます。
ショッピングローンの返済が苦しいと感じている人は参考にしてみてください。
ショッピングローンは、「ローン」という名がついているとおり、借金の一種です。
店舗などでは「分割払い」という表現が用いられることもありますが、商品の購入代金を店舗に分割で支払っているというのではなく、ローン会社が立て替えて支払った代金を分割で返済しているといった方が正確といえます。
その点では、クレジットカードを利用して商品を購入したときの仕組みと同じといえます。
ショッピングローンとクレジットカードの一番の違いは、ショッピングローンは「個別契約」であるという点です。
つまり、ショッピングローンは、「そのパソコンを買うだけの契約」といったように、当該取引限りの契約となります。
他方、クレジットカードは、契約期間・限度額以内であれば、繰り返し利用できる契約です。
この点を踏まえた上で、ショッピングローンのメリット・デメリットについて簡単に確認しておきましょう。
クレジットカードなどの他の類似サービスと比較した場合のショッピングローンのメリットとしては、次のような点を挙げることができます。
①審査に融通が利きやすい
ショッピングローンは個別契約となるので、クレジットカード契約に比べて、債権者のリスクは小さいといえます。
同じ30万円の契約であっても、「その取引1件だけ」を対象にする場合と、「今後数年間のすべての取引」を対象とする場合では、前者の方が債権者のリスク(貸し倒れのリスク)は当然に小さいといえるからです。
そのため、ショッピングローンの審査は、短期間(最短は申し込みから数分程度)で完了する場合が多いといえますし、審査基準もクレジットカードに比べて甘い場合が多いといえます。
②手数料が安くなる場合がある
分割払いの手数料は、「貸し倒れリスク」の大きさに比例して高くなるのが一般的です。
したがって、一般的にはショッピングローンの方が、クレジットカードの分割払い・リボ払いよりも手数料が安くなる可能性が高いといえます。
また、ショッピングローンは、販売店の都合(決算期で売り上げを増やしたいといった事情など)を理由に、積極的に利用をすすめられる場合も多く、手数料(の一部)を販売店が負担してくれる(顧客の手数料負担はゼロ)ケースも珍しくはありません。
③総量規制が適用されない
ショッピングローンは、機能としては借金の一種といえますが、法律上の取り扱いとしては借金とは明確に区別されています。
そのため、銀行以外の金融機関からの借金に適用される貸金業法は適用されず、割賦販売法という法律が適用されます。
したがって、カードローンなどに適用されるいわゆる総量規制(年収の1/3までしか借金できないルール)も適用されません。
ショッピングローンのデメリットとしては、次のような点を挙げることができます。
①手数料の負担がある
ショッピングローンを組んだときには、販売店が負担してくれるような例外的なケースを除いて、月ごとに手数料が発生します。
高額な商品を購入し、返済期間が長くなる(分割期間が多くなる)ほど、負担しなければならない手数料額も当然大きくなります。
また、ショッピングローンの手数料率は、消費者金融や銀行のカードローンの利率とほとんど変わらないという場合も珍しくありません。
②ローンを選択できない
ショッピングローンは、販売店ごとに提携している信販会社によって提供されることが一般的です。
そのため、「A社のローンとB社のローンを比較して有利な方を利用する」といったようなことはできない場合がほとんどといえます。
また、実際に契約(商品購入の申し込み)をするまで、「ローン会社がどこかもわからない」というケースも珍しくないので、販売店の提携先が過去にトラブルのあったローン会社であったことを知らずに申し込んでしまうということもありえるでしょう。
③返済できないローンを組んでしまう可能性がある
この点は、ショッピングローンのメリットでもある「総量規制が適用されない」ことや、「審査が甘い場合がある」ことの裏返しといえます。
ショッピングローンは、高額なローンであっても、同額の借金に比べれば審査は緩いケースが多いといえます。
そのため、「毎月の収入に対してかなり高額のローンを組んでしまう」、「何件ものローンを同時に抱えてしまう」といった事態に陥ってしまう可能性がないとはいえません。
返済することのできなくなったショッピングローンは、債務整理で解決することができます。
ローンの件数が少ない(他に借金がない)場合であれば、任意整理で今後の手数料を免除してもらうことで返済負担を減らしてもらう方法が、もっともコストのかからない解決方法といえます。
また、ローンの金額が大きい(件数が多い)場合や、他にも借金があるケースでは、個人再生を利用して元本の免除を受けたり、自己破産してすべての返済を免除してもらうことで解決できます。
以下では、ショッピングローンを債務整理した場合のデメリットについて解説していきます。
ショッピングローンを債務整理した場合には、カードローンなどの借金を債務整理した場合と同様に、信用情報機関のデータベースに事故情報が登録されてしまいます。
信用情報として事故情報が登録されてしまうと、今後の信用取引(ローン・カードなどの申し込み)の際にかなり不利になってしまいます。
①事故情報が登録される期間
ショッピングローンを債務整理した事故情報は、登録から5年間保存されるのが原則です。
ただし、事故情報が登録されるタイミングは、ケースによって異なります。
弁護士からの受任通知が届いた時点で登録される場合もあれば、任意整理(和解)成立の時点や債務整理後の完済の時点で情報が登録されるケースもないわけではありません(債権者の判断で決まります)。
したがって、債務者が思っているよりも長い期間事故情報が登録されるということもありえるので注意しておくべきでしょう。
信用情報は、それぞれの信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に情報開示請求をすることで確認することができます。
②現在の信用取引に悪影響がでる場合も
事故情報の登録は長期間にわたるため、事故情報登録後の新規取引だけでなく、事故情報登録前から続いている既存の信用取引(すでに保有しているクレジットカード契約)などに悪い影響を与える場合があります。
これらの契約では、「顧客の信用状態が悪化したとき」には途中解約できる条項が盛り込まれているのが一般的だからです。
したがって、あるショッピングローンを任意整理したことが原因で、任意整理の対象にはしなかったクレジットカードが強制解約されてしまう(残額の一括返済を求められる)可能性もないわけではありません。
ショッピングローンを債務整理した場合には、購入した商品を債権者(信販会社)に引き上げられてしまうことがあります。
ショッピングローンの契約では、代金完済までは購入商品の所有権をローン会社が留保する条項が盛り込まれているからです。
特に、ブランド品・パソコン・大型家電といった中古市場の確立した商品のローンを解約した場合には、商品引き上げの対応をされる可能性も高いといえるでしょう。
また、代金完済前の商品を他者に転売することは、ローン会社の権利を侵害する行為(ローン契約違反)になるので、絶対にすべきではありません。
この記事を読んでいる人のなかには、債務整理中(もしくは債務整理直後)に高額商品を購入するためにショッピングローンを申し込みたいと考えている人もいるかもしれません。
すでに解説したように、債務整理をした場合には、いわゆるブラック情報(事故情報)が登録されているため、ショッピングローンを申し込んでも審査落ちしてしまう可能性がかなり高いといえます。
しかし、すでに解説したように、ショッピングローンは、個別契約であることから通常のローン審査よりも甘い対応になるケースも多く、過去に債務整理したことで事故情報が登録されている人でも審査に通ってしまうケースがないわけではありません(相応の収入があることが大前提です)。
したがって、「絶対にショッピングローンは組めない」というわけではないのですが、過去に債務整理をしているということを考えれば、ショッピングローンでの買い物は、基本的にはおすすめできません。
特に、任意整理後・個人再生後の負債の分割返済が残っている人の場合には、債務整理が完全に終わっていないにもかかわらず、ショッピングローンを組んだことで、債務整理が失敗してしまうリスクを抱えることになります。
「ショッピングローンが返せない」というのは、通常の借金が返せない場合よりも「体裁が悪い」と感じる人も多いかもしれません。
また、「1件のローンくらいは自力で何とかしなければいけない」と、ショッピングローン返済のために、さらに不利な条件で借金を重ねてしまうケースも珍しくありません。
しかし、1件のショッピングローンだけが問題であるうちに、債務整理をすることができれば、低リスクで問題を処理することができます。
たとえば、ショッピングローン1件の任意整理であれば、信用情報の悪化の程度も自己破産に比べて軽く済む可能性もないとはいえません(任意整理についての信用情報の対応は、債権者によってかなりの差があるので、金額が小さいうちに処理できれば大事にならない可能性も高くなります)。
また、債務整理中にもかかわらず、新たな借金を抱えることは、債務整理を依頼している弁護士との信頼関係を壊してしまう原因にもなりかねません。
やむを得ない理由でショッピングローンを組まなければならない(高価な買い物をしなければならない)ときには、事前に弁護士に相談しておくべきといえます。
ショッピングローンは、手元にお金がない場合でも高価な買い物を可能にしてくれるとても便利な仕組みです。
しかし、ショッピングローンを何件も組んでしまえば、カードローン・クレジットカードの使いすぎと同じように、返済に行き詰まってしまうリスクも当然高くなります。
万が一、ショッピングローンの返済に行き詰まってしまった場合には、早めの対応が何よりも大切です。
自力で解決しようと、誤った対応、危険な対応をしてしまえば、状況がさらに悪化し、最悪の場合には「自己破産」に追い込まれる可能性もあります。
お金の問題は他人にはなかなか相談しづらいものですが、弁護士には守秘義務があるので、プライバシーが他人に漏れることもありません。
また、借金の相談は「無料」でうけられる場合が多いので相談費用の心配も不要です。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。