債務整理 弁護士コラム
パチンコにはまって多額の借金を抱えてしまう人は、少なくありません。
借金問題には法的な解決手段がありますが、放置しておくと借金問題以外のトラブルに発展する恐れもあります。パチンコで借金を抱えたら、早めに原因を把握して適切な対処法をとることが大切です。
本コラムでは、パチンコの借金を返せないとどのような問題が生じるのかをご紹介し、その原因と解決方法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。ギャンブルによる借金で自己破産できるのかについても解説するので、参考になさってください。
パチンコで借金を作り、返せなくなると、以下のような問題が生じる可能性が高いので要注意です。
パチンコで借金を作る人の多くは、最初は1万円~数万円といった少額を借りてパチンコをするものです。しかし、パチンコで負けて資金がなくなるとキャッシングを繰り返し、次第に借金が膨れ上がっていきます。返済が難しくなってもギャンブルがやめられず、生活費にまで手を出してパチンコを続ける人が少なくありません。
そうなると、借金を返せないだけでなく、食費や家賃などにも事欠くようになり、生活が破綻してしまいます。老後や子どもの教育費のために貯めていたお金にまで手を出すと、家族の生活設計にも支障をきたすことでしょう。
借金が増えてくると、総量規制や信用情報の影響で、やがて正規の金融機関や貸金業者からは借りられなくなります。そんなとき、闇金から借りてまでパチンコを続けてしまう人も多いのが実情です。
闇金に手を出すと法外な金利を要求されるため、さらに生活が苦しくなります。返済できなければ過激な取り立てや悪質な嫌がらせを受け、精神的にも追い込まれてしまいます。
借金を返せなければ、正規の金融機関や貸金業者は法的手段で回収を図ってきます。当初は電話や文書で督促を受けるだけですが、借金の滞納を続けると、やがて裁判を起こされ、強制執行を申し立てられるのです。
借金による強制執行で差し押さえの対象となるのは主に給料や預貯金ですが、他にも生命保険や株式など換金価値のある財産が差し押さえられ、処分される可能性があります。
パチンコによる借金で家計が破綻すると、夫婦関係にも亀裂が生じがちです。ギャンブルなどの浪費で家計を破綻させることは法定離婚事由に当たる可能性が高いため、配偶者から離婚を突きつけられると拒否できないこともあります。
親や子どもからの信頼も失い、さまざまな形で家庭不和を招く恐れが強いといわざるを得ません。
パチンコによる借金問題の解決策を考えるためには、まず原因を把握することが大切です。パチンコで借金をしてしまう主な原因として、以下のことが挙げられます。
パチンコでは客が負けることの方が多いものですが、ときどきは勝つように設定されています。勝てば、労せずして数万円、場合によっては10万円以上のお金を手にすることもあるでしょう。
ギャンブルで勝つと、脳内報酬系と呼ばれる神経回路からドーパミンという神経伝達物質が大量に分泌され、それによって人は快楽を味わうといわれています。一度この快楽を味わうと忘れられなくなり、パチンコがやめられなくなる人が多いのです。
パチンコにはまってしまうことは、借金地獄の入り口に立つことだといっても過言ではありません。
パチンコ店は商売として運営しているため、トータルで見ると必ず客が損をして、パチンコ店がもうかる仕組みとなっています。それでも、パチンコで負けた分はパチンコで取り戻そうと考える人が少なくありません。すでにパチンコにはまっている人には、この心理が強く働く傾向があります。
資金がなくなった時点でパチンコをやめればよいのですが、負けを取り戻すことにこだわると、借金をしてまでパチンコを続けてしまうのです。借金もパチンコで勝って返済しようという心理が働くようになると、あっという間に借金が膨れ上がることもあります。
パチンコを続けてギャンブル依存症に陥ると、脳の状態が変化してしまい、自分の欲求をコントロールできなくなるといわれています。パチンコをやめるべきだと考えはしても、自分の意志ではやめられなくなるのです。
こうなると、借金をしてはパチンコにつぎ込むということを繰り返してしまい、返済できないほどに借金が膨らむことにつながってしまいます。
パチンコで借金を作ってしまった場合も、解決する方法はあります。その方法は、以下のとおりです。
まずは借金をこれ以上増やさないために、パチンコを控えて支出を減らす必要があります。借金問題を解決するまで、パチンコは完全にやめた方がよいでしょう。
ギャンブル依存症にまで至っていない場合は、借金を返せない場合のリスクを肝に銘じて、パチンコをやめる決意を強く持つことが大切です。パチンコ以外に熱中できる趣味を見つけるのもよいでしょう。
ギャンブル依存症に陥っている場合は、自分の意志でパチンコをやめることは困難なので、精神医学的な手当を受けて依存症の改善を図るべきです。専門の医療機関やクリニックなどの依存症外来を受診しましょう。
家族にお金の管理をしてもらったり、パチンコに行かないように見張ってもらってもらったりするなど、家族によるサポートを得ることも有効です。
借金を増やさないためには、強制的に借金ができない状態を作った方がよいでしょう。
信用情報機関に事故情報が登録されている場合はすでに借金ができなくなっていますが、そうでない場合には貸付自粛制度の利用が有効です。
貸付自粛制度とは、日本貸金業協会および全国銀行個人情報センターに申請して、信用情報機関のデータベースに「貸付自粛」という情報を登録してもらう制度です。
こうすることによって事故情報が登録されたのと同じような状態となり、基本的に借金の審査に通りにくくなります。
すでに返済できないほどの借金を抱えている場合には、債務整理が有効です。
債務整理とは、法律にのっとった手続きで借金を減額または免除することが可能な制度のことです。主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがあります。借入額や収入・資産の状況などに応じて適切な手続きを選択して行えば、借金問題は解決できます。
ただし、借金の主な原因がパチンコである場合には、自己破産ができない可能性もあることに注意が必要です。
パチンコによる借金では、以下の理由で自己破産できないことがあります。
法律上、ギャンブルによって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりすることは免責不許可事由とされています(破産法第252条1項4号)。
免責不許可事由とは、自己破産をしても借金の返済義務が免除されないケースのことです。破産法第252条1項には、免責を認めると債権者の利益が不当に侵害されるようなケースが免責不許可事由として掲げられています。ギャンブルや浪費がその典型例です。
したがって、パチンコで多額の借金を作った場合は、原則として免責不許可となります。自己破産そのものはできますが、借金がなくならないため自己破産をする実益がないということです。
免責不許可事由があっても、借入の経緯の他にもさまざまな事情を裁判所が考慮した上で、裁量による免責を許可することがあります(破産法第252条2項)。このことを「裁量免責」といいます。
パチンコによる借金よりも生活費や返済のための借金の方が多い場合には、本人が反省することを条件に裁量免責が許可される可能性が十分にあるといえます。借金の原因がもっぱらパチンコの場合でも、ギャンブル依存症の場合は診断書を提出することで裁量免責が許可されることもあるので、自己破産を簡単に諦めることは得策ではありません。
ただし、裁量免責が認められるかどうかの判断には専門的な知識が要求されるので、弁護士に相談して検討する方がよいでしょう。
自己破産による免責がどうしても難しい場合には、他の債務整理を検討する必要があります。任意整理と個人再生では、借金の原因は基本的に問われないので、パチンコで借金を作った場合でも利用可能です。
個人再生では、借金総額が原則的に5分の1~10分の1にまで減額され、3年~5年で分割返済していくことになります。安定収入があれば、個人再生で解決できる可能性が高いといえます。
任意整理では、今後の利息がカットされるものの、元金は全額返済する必要があります。そのため返済の負担があまり軽減されないこともありますが、家族や親族が返済に協力してくれる場合は任意整理も検討してみるとよいでしょう。
パチンコで借金を作った場合には、早めに原因を把握した上で適切に対処しなければ、差し押さえだけでなく生活の破綻や闇金問題、離婚問題にまで発展する恐れがあります。
借金問題は債務整理で解決できるので、弁護士に相談して対処することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理の知見豊富な弁護士が状況に応じて最善の解決方法を提案いたします。パチンコによる借金でお困りの際は、お気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。