債務整理 弁護士コラム
今日はアコム、あさってはプロミス、来週は楽天カード…といったように、毎月何回も借金やカードの返済日がやってくれば、お金が続かないだけでなく、精神的にも辛くなってしまいます。
「借金の1本化」は、こういった悩みを解決する有効な手段としてよく知られています。
しかし、借金1本化には、メリットだけでなくデメリットもあります。
実際にも借金1本化のデメリットをきちんと理解しないまま金融機関と契約してしまい自己破産することになったというケースもないわけではありません。
毎月返済日が来るのが辛くて仕方がないという人は是非参考にしてみてください。
この記事で分かること
「借金の1本化」とは、すでに何件もの借金を抱えている状態を、1つの金融機関からの借り換えで、「1つの借金」にまとめることをいいます。
多重債務の返済に行き詰まったときの解決方法のひとつとして考えられる手段です。
借金を1本化する方法には、大きくわけて次の2つの方法があります。
銀行や消費者金融のカードローンや、クレジットカードのキャッシング・リボ払いがたくさん重なると、「毎月の利息(手数料)」の負担が原因で返済に行き詰まる可能性が高くなります。
年15%、年18%という利息は、規制が強化される以前の利息よりは安くなったとはいえ、とても重たい負担だからです。
低金利で融資してくれる金融機関の典型は、「ろうきん」です。
ろうきんは、労働組合が母体となって設立した労働者のための「非営利の金融機関」です。
たとえば、ろうきんでフリーローンを組めば、年5~8%ほどの金利が適用されるので、現状の返済負担はかなり軽くなるといえます(不動産を担保にいれることができれば、金利もさらに下がります)。
自営業者で、事業用で借りた高金利の借金返済が苦しいという場合には、日本政策金融公庫(いわゆる国金)で融資を受けることで、低金利での借り換えが可能となることもあります。
借金を1本化するもうひとつの方法は、銀行や消費者金融といった通常の金融機関の「おまとめローン(借り換えローン)」などと呼ばれる商品を利用することです。
おまとめローンを利用すれば、現状の借金よりも適用金利が下がることが多いので、毎月の返済負担を減らせる場合があります。
なお、おまとめローンを組む場合には、いわゆる「総量規制」との関係が気になる人もいるかもしれません。
総量規制とは、「年収の1/3を超える借金はできない」というルールですが、おまとめローンの場合には、総量規制は適用対象外となります(そもそも銀行から借りる場合には総量規制は適用されません)。
消費者金融の商品案内に「貸金業法施行規則第10条の23第1項第1号または第1号の2に基づく商品」と書かれているローンプランは、いわゆるおまとめローンとして、総量規制の適用対象外となるローンのことです。
実際に借金1本化がなされるケースでは、デメリットへの理解が足りないまま契約されるケースも少なくなく、「1本化に失敗する」原因となることもあります。
借金を1本化するメリットとしては、次の点を挙げることができます。
借金1本化によって借金の負担が減る最大のポイントは、「返済日が1つにまとまる」ことにあります。
多重債務を抱えている状況では、毎月借入件数の分だけ返済日がやってきます。
その都度お金を工面しなければならないことは、ほとんどの人にとって大きな苦痛です。
実際に、借金で悩んでいる人の多くは、「返済日が来るのが憂鬱、辛い」と感じていることでしょう。
借金を1本化できれば、借り方を間違えない限りは、「毎月の返済額も減らす」ことができます。
そもそも、借金は小口の借金が最も不利なものです。
小口の借金ほど、適用される金利も高く、返済期間も短く設定されるのが一般的だからです。
「多重債務は危険」、「自転車操業はすべきでない」とよくいわれるのも、小口の借金が増えることは、件数が増える以上に返済の負担が重くなるからです。
借金の1本化は、債務整理ではない方法で借金を解決する方法です。
元々の借金も、「きちんと返済する」ので、信用情報にも傷はつきません。
また、債務整理をしなければ、弁護士に依頼する必要もなく、裁判所に費用を支払う必要もありません。
実際に借金1本化を考える人の多くは、「債務整理は何とか避けたい(ブラックリスト入りしたくない)」という思いから借金1本化を選択するのではないかと想います。
メリットの話をすると、借金の1本化には良いことしかないように感じる人もいるかもしれません。しかし、何事にもメリットの裏側には必ずデメリットがあります。
借金1本化のデメリットとしては、
ということが挙げられます。
借金1本化をする前提として理解しておかなければならないのは、「借金1本化」は、決して「借金に困っている人を助けるための手段」ではないということです。
実際には、借金を解決するために用いられるケースが多いですが、貸し手である金融機関は、あくまでも「利益を上げる」ために融資を行っています。
したがって、無条件でいままでのよりも有利(にみえる)借換えができるわけではないのです。
いわゆる「おまとめローン」を利用すれば、金利を下げることができるのは、「1度に借りる金額が大きいから」に他なりません。
したがって、借換え総額がそれほど多くないケースでは、おまとめローンを組んだところで、「金利があまり下がらない」ということもよくあります。
むしろ、「金利を下げるため」に「必要以上の借金をしてしまう」というケースもあるほどです。
借換えを考える債務者の多くは、目先の借金返済以外にもお金に困っていること多く、また、おまとめローンを組んだ後は借金も出来なくなる(後に解説します)ので、「どうせだから余裕を持って借りておこう」と考えがちとよくいわれます。
本来なら「300万円でよかったのに、500万円借りてしまった」というようなケースでは、「金利が下がったとしても毎月の返済負担はあまり変わらなかった」ということもあり得ます。
おまとめローンでは、小口の借金よりも長い返済期間が設定されます。
金融機関が設定する返済期間は、適用金利に応じて設定される(金利が高いほど、返済期間が短くなる)ことになっているからです。
「金利も下がって返済期間が長くなる」といわれると、「返済総額も少なくなりそう」と思いがちですが、実際にはそうではないことが多いです。
つまり、返済期間が長くなったことで、金利が下がった分が帳消しになってしまう、あるいは、従前の借金をそのまま返した方が返済総額は少なくて済んだ、という場合も珍しくありません。
「完済までの返済額」という観点では、数%程度の金利減少であれば、返済期間が長くなるデメリットの方が大きい場合がほとんどということは、知っておきましょう。
また、返済期間が長くなれば、その間に病気になった、勤務先が倒産したといった予期せぬ事情で返済ができなくなってしまうリスクも抱えるということも理解しておくべきでしょう。
上で解説した2大デメリット以外にも、担保の提供を要求される場合があるといったデメリットが生じることもあります。
また、借金1本化によって借金が増えてしまうケースでは、返済に失敗すると、債務整理の選択肢が減ってしまう(自己破産以外の方法では解決できなくなってしまう)というリスクも抱えることになります。
借金1本化で借金を解決しようとする人には、「債務整理」について、きちんと理解していない人も少なくないようです。
「債務整理をする」ということは、誰にとっても「あまり気持ちの良いこと」ではありませんから、他の解決方法(借金の1本化)があるなら、選択せずにおきたいと考えてしまいがちだからです。
そこで、借金の1本化と債務整理との違いについて、確認しておきたいと思います。
債務整理と借金1本化の一番の違いは、「債務整理は、借金で苦しんでいる人を救済するための手段」であることです。
上でも触れたように、借金1本化は金融機関にとってはあくまでも「利益を出すための商品」に過ぎません。
分かりやすくいえば、「太く短く利益を出す商品」に対応できなくなったお客さんは「細く長く利益を出す商品」に切り替えてもらうということです。
他方で、債務整理は、「借金を根本的に解決する」ことを目的に行うものです。
この目的の一番の違いは、「借金の1本化では返済総額は減らない(むしろ増える)」が、「債務整理なら返済総額は減らせる」ことにあります。
借金の返済に行き詰まっても債務整理を選択したくないと考えてしまうのは、債務整理にはデメリットがあるからです。
中でも、「信用情報に傷が付く(いわゆるブラックリスト入りする)」ことは、債務整理をすれば避けることのできないデメリットといえます。
信用情報に傷がつけば、当面の間、金融機関から借金できなくなるだけでなく、新規にクレジットカードを作ることも難しくなります。
また、今もっているクレジットカードも強制解約や更新拒否となる可能性があります。
しかし、当面の間借金できなくなることは、借金の1本化をした場合でも同じといえます。
借金の1本化をすれば、それで多額の借金を抱えることになるので、多くの場合「総量規制」との関係で、新規の借金は難しくなります。
また、借換えローンを組む際には、「ローン完済まで他の金融機関からは借金しない」という契約を結ぶことも珍しくありません(他の金融機関から借金すれば借り換えローンが強制解約となります)。
おまとめローンでは、7~10年ほどの返済期間となることが多いので、場合によっては、ブラックリスト入りした場合よりも長い期間借金ができなくなることもあります。
その意味では、「今後借金できなくなる」という観点だけで、債務整理すべきか、借金1本化すべきかを考えることは、あまり実益がないともいえるのです。
返済が苦しくなった借金があるときには、借金1本化と債務整理のどちらで解決すべきかは、難しい問題です。
それぞれのケースの借金の内容や、現在の家計状況、今後の収入の見通し、債務者やその家族の健康状態や年齢(進学時期など)といったさまざまな事情によって結論が異なるからです。
以下では、ひとつの見通しとして、借金1本化でも十分解決可能なケースと、借金1本化よりも債務整理で解決すべき場合の例について解説していきます。
現在の借金を「借金1本化」で十分に解決できる(債務整理しなくても良い)と考えられるのは、次の要素をすべて満たしたときと考えられます。
たとえば、「ろうきんを使って低利息で借り換えられる」というような場合には、借換を積極的に考えてもよいかもしれません。
利息がいまの半分近く(以上)に減れば、返済の負担は大幅に減るからです。
また、ろうきんであれば、利息を下げるために必要以上の借金をする必要もありません。
他方で、通常の金融機関で借換えをするときには、「現在の支払い額をできるだけ維持する」ことが「早く完済する」という意味では重要です。
利息が大幅に下がっているわけでもないのに、毎月の返済額を減らしてしまえば、返済期間が長くなり、最終的な支払総額は、現状よりも増えてしまうからです。
返済期間が長くなれば、途中で返済不可能となるトラブルに見舞われる可能性も高くなります。
したがって、自分(や家族)の健康状態に不安がある場合や、数年後に家計状況が厳しくなる事情がある(子どもが高校や大学に進学して支出が増える)ことがわかっている場合には、「借金1本化」はあまりおすすめできません。
上で触れた条件を満たさない場合には、「債務整理」で解決した方が確実な場合が多いでしょう。
特に、「借金の1本化」で「毎月の返済額を大幅に減らしたい」と考えている人であれば、私としては、債務整理で解決することを強くすすめます。
そもそも、「返済額を大幅に減らさないと返せない」借金というのは、いまの収入(返済能力)に対して、金額の大き過ぎる借金だからです。
言い換えれば、「借金を1本化」したところで、「返済が苦しい」ことには変わりがなく、むしろ、返済期間が長期化することで、「完済前に息切れしてしまうリスク」の方が高くなるとも考えられるわけです。
返済の苦しい借金の解決方法は、「目先の返済額」だけでなく、中長期の視点から最も現実的(確実)な結論を出すべきでしょう。
借金の1本化を選択する人には、「債務整理」という選択肢を全く検討しないまま、金融機関と契約してしまう人が少なくありません。
たしかに、一般の人にとって「債務整理をする」ということは、精神的にもハードルの低くないことだろうと思います。
しかし、実際には、借金の1本化によって無事借金を完済できた人がいる一方で、「安易に借金の1本化」を選択してしまったために、より深刻な状況に陥ってしまった人もいることを忘れるべきではありません。
「わたしのケース」が本当に借金1本化で解決できるかどうかは、一般の人には正しく判断できない場合も多いでしょう。人はどうしても、自分に都合の良い(見た目のデメリットの少ない)方法を選んでしまいがちだからです。
また、債務整理について誤解をしている人も少なくないかと思います。
自分の状況を客観的に判断し、解決する選択肢について正しい情報を得るには、弁護士などの借金問題の専門家に相談してみることが一番です。
借金問題の相談は、「無料」で受けられる場合がほとんどですから、費用の心配もいりません。借金の1本化を考えている人は、金融機関と契約する前に、弁護士に相談してみることをおすすめします。
借金の1本化は、「返済の負担が軽くなるデメリットのあまりない商品」に思われがちです。
しかし、借金の1本化も「借金」であることにはかわりがありません。
借金である以上、当然デメリットもあります。
返済の苦しくなった借金を「借金1本化」で解決しようというときには、借金の状況、今後の収入の見通しを冷静に分析した上で、慎重にシミュレーションすることが大切です。
ベリーベストでは、借金問題に苦しんでいる方のサポートをいたします。
法律の専門家の立場から、あなたに適した解決方法をご提案いたしますので、おひとりで悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。