債務整理 弁護士コラム
任意整理のメリットとは一体何なのでしょうか?任意整理は、債務整理の中でもっとも多くの人が利用している手続きです。裁判所を通さずに手続きができるため利用しやすく、柔軟な解決が可能で、デメリットが少ないという特徴があります。
ただ、自己破産のようにすべての借金がなくなるわけではありませんし、個人再生のように大幅に減額されるわけでもありません。そのため、任意整理にどれほどのメリットがあるのかと疑問に思う人もいることでしょう。
そこでこの記事では、
・ 任意整理で得られるメリット
・ 注意すべきデメリット
・ 利用条件
などを解説します。
任意整理とは、債権者と直接交渉することによって、今後の返済額と返済方法を新たに取り決める手続きです。基本的には将来利息をカットし、元金を3年~5年で分割返済することになります。
和解する前に適正な金利で引き直し計算を行うので、払いすぎた利息があれば元金を減額したり、過払い金を取り戻すことが可能な場合もあります。
任意整理をすることで得られるメリットは、主に以下の6つです。
任意整理で減額できるのは、原則として将来利息の部分のみです。しかし、貸金業者からの借金には必ず金利がかかるため、任意整理によって今後の返済額は確実に減ります。特に消費者金融からの借金は金利が高いので、減額される効果も大きくなります。
たとえば、100万円を金利18%、60回払いで借りている場合、将来利息をカットするだけでも今後の返済額は52万円以上減額されます。
任意整理は裁判所の手続きを利用しないため、必要書類が非常に少なく、複雑な手続きも必要ありません。
手続きにかかる費用はほとんど発生しませんし、弁護士に手続きを依頼する場合にかかる費用も自己破産や個人再生の場合よりは低くなる傾向にあります。ただし、債権者数が多い場合は、弁護士費用も高額となる可能性はあります。
任意整理には、どの借入先と手続きするかを自由に選べるというメリットもあります。
この点、自己破産と個人再生では、すべての借入先を手続きの対象としなければなりません。連帯保証人がついている借金がある場合には、連帯保証人が返済の請求を受けてしまいます。
それに対して、任意整理では連帯保証人がついている借金を手続きから除外することが可能なので、連帯保証人に迷惑をかけずに借金を整理することができます。
任意整理では、今後の返済について債権者と話し合うだけなので、財産を処分することは求められません。住宅ローンや自動車ローンのように担保付きの借金を任意整理しようとすると財産を失うことがありますが、担保付きの借金を除外して任意整理すれば、財産を処分する必要は一切ありません。
債務整理をすると、手続きの種類を問わず信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に登録された状態となります。しかし、事故情報が登録される期間は任意整理で5年、自己破産と個人再生で10年とされており、任意整理の場合がもっとも短くなっています。
ただし、任意整理の事故情報が抹消されるのは「完済から5年」と考えられています。返済期間が長い場合には自己破産や個人再生の場合よりも事故情報が抹消される時期が遅くなる可能性があることに注意が必要です。
任意整理の手続きをしてもその情報が公表されることはないので、周囲の人に知られずに借金を整理できます。これに対して、自己破産または個人再生をした場合は、住所や氏名が官報に掲載されます。官報は一般の人が日常的に見るものではありませんが、任意整理よりは他人に知られるリスクがあるといえます。
任意整理にも一定のデメリットはあります。以下の3つのデメリットには注意しましょう。
任意整理では、利息を払いすぎていた場合を除いて、元金を減額できることはほとんどありません。
すべての借金が免除される自己破産や、元金も含めて借金額が大幅に減額される個人再生(原則として5分の1、最大で10分の1まで)に比べると、任意整理で借金を減額できる効果は限定的なものとなります。
任意整理での債権者との交渉は、あくまでも任意で行われるものです。債権者に対して和解を強制することはできません。この点は、裁判所の決定によって強制的に借金が減免される自己破産や個人再生とは異なります。
任意整理の和解に一切応じない債権者はごくまれにしかいませんが、取引期間が短い場合や2回目の任意整理の場合などでは、厳しい条件でしか和解に応じない債権者も少なくありません。
先ほどもご説明したように、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されます。その後は新たな借り入れやクレジットカードの利用ができない、住宅ローンや自動車ローンが組めないなどの不利益を受けることになります。
ただし、任意整理後の完済から5年が経過すると事故情報は抹消され、その後は上記のような不利益は基本的に解消されます。
任意整理は債務整理の中でもっとも利用しやすい手続きですが、それでも以下の条件を満たす場合でなければ利用するのは難しいといえます。
任意整理では、基本的に元金を3年~5年かけて毎月返済することが求められます。そのため、継続的に安定収入を得られる見込みがあることが任意整理の条件となります。
収入が不安定で、「今月払えても来月は払えないかもしれない」という状態では、任意整理で借金問題を解決することは難しいでしょう。
任意整理で借金問題を解決するためには、元金の総額が3年~5年で完済できる程度の金額であることも条件となります。具体的に借金総額がいくらまでという決まりはありませんが、収入に比して借金総額が大きすぎる場合は、任意整理で解決することは難しくなります。
任意整理後の3年~5年という返済期間中には、突発的な出費が重なるなどして返済が苦しくなるときもあるでしょう。途中で返済が途絶えてしまうと、残額の一括返済を請求され、最終的には給料や預金口座などの財産を差し押さえられるおそれがあります。
和解内容にもよりますが、苦しいときには生活費を切り詰めてでも完済するまで返済を継続するという固い意思が要求されます。
任意整理の手続きは自分でもできますが、できる限り弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼することで、以下のようにさらなるメリットが得られます。
任意整理の依頼を受けた弁護士は、すぐに債権者宛てに受任通知書を送付します。この通知書を受け取った債権者は債務者に対して直接の返済要求ができなくなるので、取り立てが一時的に止まります。
その後は和解が成立するまで返済する必要もないので、落ち着いて和解条件を検討することができます。その間に貯蓄をしたり、滞納していた税金などを支払うことも可能でしょう。
債権者との交渉は弁護士が代理人として行うので、債務者本人は債権者と直接やりとりする必要がありません。交渉にかかる手間と時間の負担が軽減されますし、精神的にも楽になることでしょう。
債権者と適切な条件で和解するためには、専門的な知識と高度な交渉力が要求されます。債務者が自分で任意整理をすると、通常は知識と交渉力の点で債権者とは圧倒的な差があるため、不利な和解案を押しつけられることになりがちです。
豊富な専門知識と高度な交渉力を持った弁護士に交渉してもらうことによって、より有利な条件での和解が期待できます。
任意整理には、借金問題を柔軟な形で解決できるというメリットがある上に、デメリットが少ないという特徴があります。借金総額が比較的少ないケースで手軽に借金を整理したい場合や、担保付きの借金を抱えている場合などに向いている手続きといえます。
ただ、自分で手続きをすると不利な和解をしかねないというリスクがありますので、弁護士にご相談の上で任意整理を行うことをおすすめします。ベリーベスト法律事務所では、債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけます。任意整理をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、その後の一定期間は新たな借り入れ、そしてクレジットカードの利用ができなくなります。この状態になることを、俗に「ブラック入り」といいます。
任意整理も債務整理の一種であるため、手続き後はブラックリストに掲載されてしまいます。しかし、自己破産や個人再生とは異なり、任意整理の場合は例外的にブラックにならないケースが2つあります。
ただ、例外に該当しない場合でもブラック入りを過度に恐れず、早めに任意整理等をして借金問題を解消することが大切です。
この記事では、任意整理してもブラックにならない2つのケースと、ブラックになっても任意整理をするメリットについて、ベリーベスト法律事務所の債務整理に詳しい弁護士が解説します。
任意整理をすると、クレジットカードを今までどおりに利用できなくなります。キャッシュレス決済が普及した現在、クレジットカードが使えなくなると不便に感じることも多いことでしょう。
しかし、任意整理をしてから一定期間が経過すると、再びクレジットカードが使えるようになります。
そこで今回は、
・任意整理をするとクレジットカードがどうなるのか
・クレジットカードの新規作成はいつからできるようになるのか
・任意整理後にクレジットカードを使いたいときはどうすればよいのか
などについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームに所属する弁護士が解説します。
クレジットカードを任意整理するときの注意点も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
任意整理は、借金を整理する手段(債務整理)のひとつです。裁判所を用いることなく手続きを行えることから比較的費用も安く、カードローンの返済・リボ払いの支払いができなくなってしまった場合の解決方法として有効です。
ただ、任意整理によって借金を解決した場合には、信用情報(ブラックリスト)としてその記録が残ってしまうことから、その後のローンやカードの契約などに悪影響が生じる可能性も高くなってしまいます。
しかし、これらの悪影響は一生続くわけではなく限定的なものにすぎません。本コラムでは任意整理をした場合の信用情報の登録や回復までの登録期間、借金を放置するデメリットなどについて解説します。