債務整理 弁護士コラム
任意整理をする際には、そのとき持っているクレジットカードをすべて解約することが一般的です。
任意整理をすれば、カード会社からクレジットカードを解約される可能性が高いだけでなく、クレジットカードを持ち続けることで任意整理が失敗する原因にもなりかねないからです。
とはいえ、キャッシュレス決済が広く普及しているいまの生活のなかでは、クレジットカードがないと不便に感じることも多いといえます。
クレジットカードを持てなくなるなら任意整理(債務整理)したくないと考える人や、任意整理後はいつになればクレジットカードを作れるのか気になる人も多いと思います。
そこで、今回は任意整理をした後にクレジットカードを作る際に知っておくべき重要なポイントについてまとめてみました。
最初に、任意整理をはじめとする債務整理を行った場合にクレジットカードを作れなくなってしまう主な原因は、「任意整理したことで、信用情報にその債務者についての悪い情報(事故情報)が登録されてしまう」ことにあります。
信用情報というのは、民間のデータベースバンク(信用情報機関)が保有している金融機関との信用取引(借金・クレジット契約など)に関するさまざまな記録のことで、過剰融資の防止などを目的に、法律によって登録が義務づけられているものです。
債務整理の文脈でよく「ブラックリストに載る」という表現が使われるのは、信用情報に「事故情報(正確には「異動情報」といいます)」が登録されてしまうことを意味しています。
以下では、ブラックリストに載ってしまうことと、クレジットカード発行との関係について確認しておきましょう。
クレジットカードの発行審査では、必ず申込者の信用情報が確認されます。
金融機関には、顧客と信用取引を行うときには、「与信調査」を行うことが必ず義務づけられているからです。
信用情報を照会することは、いわゆる属性評価(職種・勤続年数・持ち家の有無・家族構成などの客観的条件による評価)と並ぶもっとも典型的な調査手法といえます。
したがって、「過去に信用事故を起こした」ということは、発行を申し込んだカード会社に必ず知られてしまうと考えておくべきでしょう。
ちなみに、「ブラック情報が登録されている申込者にクレジットカードを発行してはいけない」という法律などのルールがあるわけではありません。
したがって、下で別に解説するように、事故情報が登録されていたとしても新規のカード発行を受けられるケースがないわけではありません。
しかし、一般的には、ブラック情報が登録されている間は、新規のカード発行を受けることは難しい場合が多いといえるでしょう。
クレジットカード会社が、「安全な顧客」にカードを発行したいと考えるのはごく自然なことだからです。
任意整理をはじめとする債務整理を行う人にとっては、「任意整理のブラック情報はいつまで登録されるのか」ということには関心が高いでしょう。
任意整理に関する異動情報(官報掲載事項ではない異動情報)の登録期間は、いずれの信用情報機関(CIC、JICC、KSC)でも、「登録から5年」となっています。
ただし、「登録から5年」というのと、「任意整理から5年」は必ずしも同じではないケースがあることに注意する必要があります。
任意整理をした場合には、「任意整理をした」という事故情報が登録されるわけではありません。
かつては「弁護士が介入した」という情報の項目がありましたが、いまではこの項目は廃止されているからです。
任意整理をした場合の異動情報の付き方には、次のようなパターンがあります。
・受任通知送付による支払い停止(長期滞納)による登録(和解成立前)
・保証会社による代位弁済が実行されたことによる登録(銀行カードローンの場合)
・返済条件の変更に伴う登録(和解成立時)
上記のそれぞれの異動情報は、登録されるタイミングが異なるものです。
また異動情報の登録の時期は、債権者それぞれの判断で行われるので、素人判断で「弁護士に依頼してから5年たったからブラック情報は消えている」と判断することは、とても危険です。
任意整理をした場合には、いわゆる事故情報だけでなく、クレジットヒストリーにも悪い影響を与えることになります。
クレジットヒストリー(クレヒスと省略されることもあります)というのは、「直近2年間の信用取引の履歴」のことです。
任意整理を行った場合には、その時点で契約のあった信用取引(借金・カード)の契約のほとんどが解約となることが一般的です。
そのため、任意整理後にクレジットカードを申し込むときには「直近のクレヒスが1件もない」ということもあるでしょう。
与信調査においては、「継続的に信用取引が行われていること」も非常に重要視されるため、「クレジットヒストリーが真っ白(クレヒスの記録が全くない場合を「スーパーホワイト」ということがあります)」であることが理由で審査落ちになることも珍しくありません。
また、任意整理の相手となった債権者の判断によっては、任意整理後の分割返済のクレジットヒストリーが「一部入金」として処理される可能性もあります。
任意整理をすると、当初の契約よりも利息免除となる分だけ返済額が少なくなってしまうからです。
この場合には、最後の分割返済が終わってからしばらく(最大で2年)たたないと、クレジットヒストリーがキレイにならないということになります。
1、で解説したことを前提にすれば、任意整理の後にクレジットカードを作ることができるのは、次の場合といえるでしょう。
・信用情報に問題がなくなってからの申し込む
・信用情報を重視しないクレジットカード会社に申し込む
詳しく見ていきましょう。
任意整理(債務整理)した後にクレジットカードを作るときには、信用情報から事故情報(異動情報)が消去されてから発行申し込みを行うのが、一番スタンダードな方法です。
一般的なクレジットカード会社に対して、事故情報が残っているうちに申し込みをしても確実に審査落ちしてしまうからです。
自分の信用情報がどうなっているかは、それぞれの信用情報機関に情報開示請求することで確認できます。
クレジットカードを申し込むときには、自分の判断で「もう大丈夫」と判断せずに、必ず情報開示を請求してから申し込むようにしましょう。
信用情報機関には、CIC(クレジットカード系)・JICC(消費者金融系)・KSC(銀行系)の三つがありますが、クレジットカード発行との関係では、CICへ開示請求すれば十分な場合が多いといえます。
任意整理後にクレジットカードを作るもうひとつの方法は、「発行審査の際に信用情報をあまり重視しない」カード会社に申し込む方法が考えられます。
近年では、カード会社間の競争も激しいので、「過去に信用事故の履歴があっても現在の収入が十分にある顧客」であれば、カードを発行したいと考えるカード会社もないわけではないからです。
任意整理後にクレジットカードを作る際には、事前に必ず自分の信用情報を確認しておくことに加えて、以下の点についても注意する必要があります。
任意整理後にクレジットカードを作るときには、「複数のクレジットカード会社に同時に申し込みをする」のは絶対に避けるべきです。
その理由は次のようにまとめることができます。
カードの保有枚数が増えれば、借金問題を再度抱えてしまう可能性が高くなることは、いうまでもないことです。
実際にも、過去に債務整理の経験のある人が再度借金問題を抱えてしまうケースは少なくありません。
また、「審査に通るかどうかわからないから何社か同時に申し込んでおこう」、「何社か申し込めばどこかは審査に通るだろう」という考えもリスクの方が大きいといえます。
カードの申し込み状況などは、信用情報上でもチェックすることが可能なので、「複数のカードの申し込み=資金繰りが苦しい」と判断される可能性もあるからです。
いまの私たちの生活では、クレジットカードがないと不便に感じる場面が増えています。
そのため、「審査落ち」になってしまったときには、他のカード会社に早く申し込みをしたいと考える人もいるかもしれません。
しかし、カードの発行審査に落ちてしまったことも、任意整理した場合と同様に、信用情報に記録が残るので、「他社の審査で落ちている」ことは、次の申し込みをしたカード会社にも知られてしまいます。
普通に考えれば「他社で落ちた人」にカードを発行しようと考えるカード会社は少ないといえるでしょう。
審査落ちの信用情報の登録期間は半年ですので、審査落ちになってしまったときには、それ以上の期間をあけてから再度の申し込みを行うようにしましょう。
任意整理後にクレジットカードを作る場合にもっとも注意すべきは、「再度債務整理をするような状況に陥らない」ことです。
特に「カードの使いすぎ」が原因で任意整理をしたという人の場合には、カードを作ること自体が大きなリスクといえます。
その意味では、任意整理後に作るクレジットカードは、「できるだけ限度額の低いカード」を選んだ方がよいといえます。
限度額の低いカードであれば、発行基準が甘くなることも多いでしょうから、過去に債務整理をしたことで信用情報が芳しくない(たとえばクレヒスがスーパーホワイトの)場合でも審査に通る可能性は高いといえます。
クレジットカードのなかには「リボ払い専用」のカードも存在します。
リボ払いは、カード会社にとって利益率の高い支払い方法なので、リボ払い専用カードは発行審査が甘くなることも考えられます。
しかし、任意整理をした経験のある人がリボ払い専用カードを作ることは、再度借金問題を抱えるリスクが高くなるので、基本的には控えるべきでしょう。
リボ払いは、「毎月の支払額を一定額に固定する」ことと引き換えに「毎月手数料を負担する」必要があるので、通常のカードよりも返済負担が重くなってしまいます。
また、毎月の支払額が一定ということは、「利用残額が減りづらい」ということでもあるので、使いすぎてしまった場合のリスクが高くなるからです。
任意整理をしたからといって、「一生クレジットカードが作れない」ということにはなりません。
最近では、クレジットカード会社同士の競争も激しいので、任意整理だけでなく、過去に自己破産の経験がある人でも、その後に収入などの条件を満たせば、クレジットカードの発行を受けることは十分可能です。
とはいえ、過去に任意整理をした経験のある人にとってクレジットカードを作ることは、借金問題を再度抱えてしまう可能性もあるので十分に注意しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、その後の一定期間は新たな借り入れ、そしてクレジットカードの利用ができなくなります。この状態になることを、俗に「ブラック入り」といいます。
任意整理も債務整理の一種であるため、手続き後はブラックリストに掲載されてしまいます。しかし、自己破産や個人再生とは異なり、任意整理の場合は例外的にブラックにならないケースが2つあります。
ただ、例外に該当しない場合でもブラック入りを過度に恐れず、早めに任意整理等をして借金問題を解消することが大切です。
この記事では、任意整理してもブラックにならない2つのケースと、ブラックになっても任意整理をするメリットについて、ベリーベスト法律事務所の債務整理に詳しい弁護士が解説します。
任意整理をすると、クレジットカードを今までどおりに利用できなくなります。キャッシュレス決済が普及した現在、クレジットカードが使えなくなると不便に感じることも多いことでしょう。
しかし、任意整理をしてから一定期間が経過すると、再びクレジットカードが使えるようになります。
そこで今回は、
・任意整理をするとクレジットカードがどうなるのか
・クレジットカードの新規作成はいつからできるようになるのか
・任意整理後にクレジットカードを使いたいときはどうすればよいのか
などについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームに所属する弁護士が解説します。
クレジットカードを任意整理するときの注意点も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
任意整理は、借金を整理する手段(債務整理)のひとつです。裁判所を用いることなく手続きを行えることから比較的費用も安く、カードローンの返済・リボ払いの支払いができなくなってしまった場合の解決方法として有効です。
ただ、任意整理によって借金を解決した場合には、信用情報(ブラックリスト)としてその記録が残ってしまうことから、その後のローンやカードの契約などに悪影響が生じる可能性も高くなってしまいます。
しかし、これらの悪影響は一生続くわけではなく限定的なものにすぎません。本コラムでは任意整理をした場合の信用情報の登録や回復までの登録期間、借金を放置するデメリットなどについて解説します。