債務整理 弁護士コラム

任意整理の2つのデメリット~デメリットをできるだけ小さくするたった1つの方法とは?

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更新日:2023年03月16日 公開日:2019年12月25日

任意整理の2つのデメリット~デメリットをできるだけ小さくするたった1つの方法とは?

任意整理は、もっとも簡単で、穏便に借金を解決できる方法です。

とはいえ、任意整理は「当初の約束を破って返済の負担を減らしてもらう」ための交渉なので、当然一定のデメリットと引き替えになります。

そこで、今回は、

・他の債務整理の方法と比較した場合の任意整理のメリット・デメリット
・任意整理をしたことによって生じるデメリット

について解説していきます。

1、任意整理とは?

任意整理とは、債権者との「任意の話し合い」に基づいて、借金の返済条件を設定し直して(整理する)借金を返しやすくする手続きのことをいいます。

任意の話し合いなので、どの債権者と話し合いを持つかは自由に決められ、裁判所を利用する必要もないというのが特徴です。
他の債務整理の方法である個人再生・自己破産では、必ず「すべての債権者を対象」に手続きを進めなければならないため、手続きの負担は、任意整理よりも重たくなってしまいます。

2、他の債務整理と比較したときの任意整理のメリット・デメリット

まずは、個人再生・自己破産と比較した場合の任意整理のメリット・デメリットについて整理しておきましょう。

  1. (1)任意整理が他の債務整理より優れている点

    任意整理が、個人再生・自己破産よりも優れている(債務者にとって有利となる)点は、次の5つです。

    • 債務整理の対象にする借金を自分で選べる
    • 手続きがもっとも簡単
    • 費用を安く抑えられる
    • 官報に氏名などが掲載されない
    • 資格や仕事に悪影響がでない


    ①債務整理の対象にする借金を自分で選べる
    自己破産や個人再生では、すべての債権者を対象に手続きを進めなければなりません。したがって、債務整理をすると都合の悪い借金(連帯保証人のいる借金・担保を提供している借金、知人や勤務先からの借金など)があっても除外することはできません。

    しかし、任意整理であれば、債務整理すると問題のある借金を除外して、たとえばカードローンだけを対象に手続きを進めることも可能です。

    ②官報公告がない
    自己破産・個人再生では、「すべての債権者」に漏れなく手続きが始まったことなどを知らせる必要があるために、官報に債務者の氏名・住所といった情報を掲載して「公告」を行います。

    しかし、任意整理ではすべての債権者を対象に手続きを行う必要がないので、そもそも公告のような手続きは不要です。

    ③手続きがもっとも簡単
    任意整理は、個別の債権者と一対一で直接話し合いをする方法です。また、借金の返済も財産は処分せずに、今後の収入から分割返済していきます。

    そのため、債権者一覧表や財産目録といった面倒な書類を作成する必要もありません。それぞれの借金の状況は交渉の相手である債権者がもっともよく知っているからです。

    弁護士に任意整理を依頼した場合であれば、債務者本人は、報告を待つだけで何もしなくて良いという場合がほとんどです。

    ④費用を安く抑えられる
    任意整理であれば、特別な手続きも不要で、裁判所を利用する必要もないことから、費用を大幅に節約することができます。

    ⑤資格・仕事の制限が生じない
    自己破産をした場合には、いわゆる士業や警備員・保険外交員などのような一部の仕事に支障が出ることがあります。

    しかし、任意整理であれば、そのような制限は一切生じません。

  2. (2)任意整理が他の債務整理より劣っている点

    任意整理が他の債務整理に比べて手続き的に劣っている点は、これから解説する2点です。

    ①相手方が同意しなければ債務整理(和解)できない
    任意整理は、交渉の相手方となる債権者が交渉のテーブルについてくれなければ、手続きを始めることもできません。裁判所を用いないので、「強制的に話し合いに応じさせる」ということはできないからです。

    したがって、それまでの経緯で債権者との信頼関係が完全に破綻しているようなケースでは、そもそも話し合いに応じてもらえないということもあるかもしれません。

    ②借金が減額される割合が少ない(元本はカットされない)
    同様に、任意整理での借金減額(和解)は、相手方である債権者の同意がなければ認められません。
    そのため、個人再生した場合よりも債務者にとっては不利な条件で和解を提案するほかありません。そうでなければ、債権者が任意整理(和解)に応じるメリットが全くないからです。

    したがって、任意整理では、借金元本の減免は、原則的には難しいといえます。

3、任意整理したことで生じる生活上のデメリット

任意整理をしても自己破産のように借金の残額を完全に免除してもらえるわけではありません。
また、当初の契約内容を債権者に不利に変更してもらったことによる不都合も生じてしまいます。

  1. (1)数年間の分割返済が続く

    任意整理は、「借金の残額について今後発生するはずだった利息を免除してもらった上で、将来の収入から分割で返済する」内容の和解を債権者とするものです。

    したがって、債権者と和解が成立したからといって、それで借金から解放されるわけではありません。和解で決められた内容にしたがって、借金残額を分割返済していかなければならないからです。

    一般的な任意整理では、借金の残元金を3年から5年の分割返済で返す和解となります。 利息を免除してもらったといっても、それなりの金額を毎月返済し続けなければならないので、完済までは決して気を抜くことができません。

  2. (2)ブラックリストへの登録

    任意整理の最大のデメリットは、信用情報に傷がついてしまうことです。
    信用情報に債務整理などの信用事故の情報が登録されることを「ブラックリスト入りする」と表現することがあります。

    ①ブラックリストに登録されるとどうなる?
    ブラックリストに登録されると、その間は、新規の借金申し込みや、クレジットカードの発行といった信用取引の審査でとても不利になります。

    金融機関は、融資実行やクレジットカード発行の際には、必ず申込者の信用情報を照会するからです。
    当然、過去に信用事故を起こしていることが分かれば、審査は不利に働きます。「ブラックリスト入りしている人にお金を貸してはいけない(クレジットカードを発行してはいけない)」という法律があるわけではありませんが、実際にはブラックリストに登録されている間は、新規の信用取引は難しいと理解しておくべきでしょう。

    また、ブラックリストに登録されれば、現時点で持っているクレジットカードの利用にも悪影響がでる場合があります。クレジットカードの契約では、カード利用者の信用情報に不安が生じたときには契約を解除できる規定が設けられているからです。

    カード会社は、定期的に顧客の信用情報をチェックしています(途上与信といいます)。また、利用額が大きいときには途上与信をしなければならない法律上の義務もあります。その際に、他社を債務整理していることがわかったことで、強制解約の判断をする可能性があるということです。

    カード更新の際にも信用情報は照会されるので、他社を債務整理していることが原因でカードが更新できないということもあり得ます。
    ※いずれの場合も、カード会社の判断で他社の債務整理は不問としてもらえることもあります。

    ②ブラックストの登録はいつまで続く?
    ブラックリストの登録期間は、「5年間」がひとつの目安です。
    ただし、実際の登録期間は、ブラック情報が登録される信用情報機関によって、取り扱いの細かい部分が違うことに注意が必要です。

    たとえば、CICという信用情報機関の場合には、登録されたブラック情報は、その借金の完済(契約終了)から5年たつまでは消去されません。
    つまり、任意整理の場合には、和解に基づいて5年(または3年)かけて借金の残元金を完済してから5年たたないとブラック情報が消去されないということになります。

    CIC以外の信用情報機関(JICC・KSC)では、任意整理のブラック情報は、弁護士からの受任通知送付から5年というのが原則です。
    とはいえ、CICは、加盟者数のもっとも多い信用情報機関で、中小の消費者金融以外の金融機関のほとんどが加盟しています。

    その意味では、ブラックリストの登録期間は、和解後の分割返済が終わってから5年たつまでと覚えておいた方が無難かもしれません。

4、任意整理のデメリットを小さくするためには早めの相談が重要!

債務整理を考える人であれば、誰もが「デメリットを小さくしたい」と考えるかと思います。

任意整理のデメリットをできるだけ小さくするためには、「少しでも早く任意整理に着手する」しかありません。
借金の金額もそこまで多くなく、債権者の数も少なければ、任意整理(和解交渉)も早く進めることができます。

それまでに滞納がないケースであれば、早期に(借金の返済をストップしてから2か月以内)任意整理を完了させることができれば、CICにおけるブラック情報の登録を回避できる場合があります。

また、債務整理で解決しなければならない借金額が少なければ、当然分割返済の期間も短くできる(早く完済できる)ので、ブラック情報が登録された場合でも、早く以前の状態に戻すことができます。

もし、この記事を読んでいる人の中に、「今月の返済を他社から借りて乗り切ろうか、任意整理を依頼して解決しようか迷っている」という人がいれば、1日も早く債務整理の相談をすることをおすすめします。
借入件数が増えることは、リスクばかりでメリットのないことだからです。

5、まとめ

任意整理は、裁判所の利用や財産の処分を必要とせず、すべてを弁護士に任せきりにできるという点で、個人再生・自己破産よりもはるかにデメリットの少ない方法です。

しかし、借金を申し込んだ際の契約を債権者にとって不利に変更してもらわなければならないことと引き替えに、信用情報が汚れることだけは避けられません。

信用情報を回復させるためには、借金を1日でも早く返すしかありません。

1日も早く借金を完済するためには、やはり借金が1円でも少ないうちに、債務整理に踏み切ることが大切といえます。

債務整理せずに自力で何とか完済したいとどうしても考えてしまいがちですが、返済に行き詰まってしまった状況をそのままにして、長期滞納ということになれば、任意整理をしたときよりも長い期間ブラックリスト入りしてしまうことにもなりかねません。

返済が苦しいと感じているのであれば、1日でも早く弁護士に任意整理の相談をしてみることをおすすめします。お悩みの際は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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