債務整理 弁護士コラム

自己破産の手続きはどのように進む? 自己破産の手続きを自分でできるとは

2019年09月03日
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自己破産の手続きはどのように進む? 自己破産の手続きを自分でできるとは

自己破産で借金を解決しようと考えるときには、手元のお金もほとんどない場合でしょう。

借金は解決したいけど、弁護士に頼むお金なんてない。
できれば、自分で自己破産をして安く済ませられないか。

と考えている人も多いと思います。
たしかに、ケースによっては自己破産の手続きを弁護士に頼まずに自分で行うことは不可能ではなさそうです。

そこで、この記事では、

・自己破産手続きの流れ
・自己破産するためにしなければならないこと
・自分で自己破産の手続きを行うことが可能な場合

について解説していきます。

1、自己破産手続きの基本的な流れ

まずは、自己破産の手続きがどのように進められるのかを簡単に確認しておきましょう。

  1. (1)自己破産は何をするための手続きか?

    自己破産は、借金を解決するための手続きです。

    とはいえ、借金の解決の仕方にもいろいろな方法が考えられます。債務整理の方法の違いは、まさに「借金の解決の仕方の違い」にあるといえます。

    自己破産の最大の特徴は、「債務者が抱えている借金と債務者が持っている財産を一括で清算する手続き」であることです。

    他方で、任意整理や個人再生は、「借金を返しやすくした上で分割払いしていく」ことで借金を解決する手続きといえます。

    そのため、「借金が解決するまでかかる期間」、「借金が減免される程度」、「財産処分の要否」といった点で、大きな違いがでてきます。

    相違点を簡単にまとめると、下の表のように整理することができるでしょう。

    自己破産 個人再生 任意整理
    解決までの期間 数ヶ月~半年程度 3年半~5年半 3年半~5年半
    減免される程度 清算後の残額全部 元金の一部と利息 利息のみ
    財産処分の要否 一定の財産を失う場合がある 担保に提供した財産以外は不要 不要

  2. (2)自己破産で借金を清算するまでの流れ

    自己破産の手続きを申し立ててから借金を免除してもらうまでの流れを確認しておきましょう。

    ①申し立てから破産手続きの開始まで
    破産手続きは、債務者もしくは債権者からの申し立てによって始まります。「自己破産」という表現は、正確には「債務者が自ら破産手続きを申し立てた」ことを指しています。
    ケースはそれほど多いわけではありませんが、債権者が「債務者を破産させてほしい」と申し立てる債権者申し立てもないわけではありません。

    破産手続きは、申し立てがあったからといってすぐに始まるわけではありません。
    破産手続きが開始されると、「所有財産の差し押さえ」などの重大な効果が発生するため、「本当に破産させて良いかどうか」を慎重に判断する必要があるからです。その判断のために「裁判官による面接」が行われます(破産審尋といいます)。

    破産審尋の結果をふまえ、債務者を破産させても良いと判断したときには、「破産手続き開始決定」が出されます(従来は「破産宣告」とよばれていたものです)。

    ②破産管財人の選任と財産の差し押さえ・換価
    破産手続きは、上で解説したように、「債務者(破産者)が抱えている負債のすべて」を「債務者が持っている処分可能なすべての財産」で一括清算する手続きです。

    一般の人の中には、「自己破産は借金を帳消しにしてもらうための手続き」と思い込んでいる人も少なくないようですが、法律の理解としては正しいとはいえません。自己破産は、あくまでも「負債と財産を公平に清算する」ことを目的とした手続きで、負債の免除は、その延長線にある結果でしかないからです。

    債務者の財産を清算する(売却して債権者に配当する)業務は、裁判所に選任された「破産管財人」が行います。破産管財人には、それぞれの地区に在籍している弁護士が選ばれるのが原則です。

    破産管財人の業務は、実際にはかなり多岐に亘ります。

    • 破産財団(配当のために差し押さえる破産者の財産)の確保
    • 負債の調査と確定(債権額について争いがある場合もある)
    • 自己破産前の不適切な行為(特定債権者だけへの返済や財産減少行為など)の調査および否認権の行使
    • 免責不許可事由の有無についての調査
    • 債権者集会(債権者に手続き状況を説明するための集会)の招集

    これらの業務を迅速・正確に行うために、債務者には、破産管財人の業務に協力する義務があります。
    そのため、自己破産をすると破産管財人の業務が終わるまでは、裁判所の許可を得なければ引っ越し、長期の旅行ができないという制限が生じます。

    ③破産手続きの終了
    破産管財人による財産の換価にめどがついたところで、債権者集会を開催し、最終的な配当見込みなどについて債権者に報告をします。
    それを受けて、裁判所は「破産手続き終結決定」を出し、破産手続きは終了となります。

    破産手続きの終了によって、引っ越し・長期旅行の制限は解除されます。

    自己破産したときには、配当が終わっても必ず負債が残ります。そもそも財産処分で完済できるようなケースでは、自己破産は認められないからです。実際の自己破産事件での配当率は10%に満たないケースがほとんどといわれています。

    清算後に残った借金の取り扱いは、破産手続きに続く「免責手続き」で決まります。

    ④免責手続き
    一般的にはあまり知られていないことですが、免責手続きは、破産手続きとは別個の手続きです。したがって、本来的には、申立書も別に必要となります(いまの実務では、自己破産の申し立てと同時に免責手続きも申し立てることになっています)。

    免責手続きは、個人の自己破産でもっとも重要といえる段階です。免責を得ることができなければ、自己破産をしても借金の返済義務はなくならない(自己破産をする意味がない)からです。そのため、「自己破産=免責手続き」というイメージを持っている人の方が多いかもしれません。

    しかしながら、破産手続きは、返せなくなった借金を「公平に清算する」ことを目的にしている手続きなので、すべての自己破産で無条件に免責が認められるというわけではないのです。
    免責を与えることが債権者との関係で「あまりにも不公平」と評価できるときには、「免責不許可決定」が下されてしまいます。

    免責が不許可となる事情については、破産法252条1項(各号)が「免責不許可事由」として具体的に定めています。

    ただし、免責不許可事由に該当するときでも「絶対に免責されない」というわけではありません。破産法252条2項が、「裁判所の裁量による免責」を認めているからです。

    実際に自己破産に追い込まれるケースの多くは、何かしらの免責不許可事由を抱えていることが多いと言われます。しかし、実際に免責不許可になるのは、「裁判所や破産管財人の業務を妨害した(協力しない)」、「態度が誠実ではない(期日を無断欠席する・自己破産申し立て後も借金を繰り返している)」、「財産隠しをした」といった悪質なケースに限られます。

    このような事情の有無を調査し、免責を与えることについての債権者の意見を聞くために、免責手続きにおいては、「免責審尋」という手続きが行われます。

  3. (3)管財と同時廃止:破産事件のふたつの進め方

    破産手続きには、「管財」と「同時廃止」のふたつの進め方があります。上で、解説したのは、「管財」となった場合の基本的な流れです。

    ①破産手続きの原則は「管財」型
    破産手続きの原則的なやり方は、「管財」のやり方です。破産手続きはあくまでも「財産と負債を清算する」ことを目的としているからです。

    一般の人には、「自己破産=同時廃止」と思い込んでいる人も少なくないようなので注意が必要です。実際にも、平成29年中に終結した破産事件のうち、同時廃止となったのは58%に過ぎません。

    また、近年の裁判所には、「安易に同時廃止にすべきではない」という認識を持った裁判官が増えているといわれています。少なくとも「個人の自己破産のほとんどは同時廃止になる」というのは、誤った認識だと思っておいた方がよさそうです。

    ②同時廃止になるのはどんな場合?
    「同時廃止」とは、破産手続きの開始と同時に手続きを廃止することをいいます。廃止というのは、「その手続きの目的を達成できないことが明らかなので(不本意だけど)手続きを行わない場合」とイメージしておけばわかりやすいと思います。

    自己破産の手続きが同時廃止となるのは、いわゆる「破産財団不足」となる場合です(破産法216条1項)。

    破産法216条1項
    裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。

    「破産財団」というのは、「債権者への配当に充てることができる債務者(破産者)の財産の集合体」のことをいいます。
    「破産手続きの費用」とは、破産管財人の報酬を指しています。

    つまり、差し押さえ可能な債務者の財産が破産管財人の報酬を支払うことができないほど少ないときに同時廃止となるわけです。
    いまの実務運用では破産管財人の報酬は20万円となっている裁判所がほとんどなので、「20万円を超える財産がないときには同時廃止になる」と説明されることが多いわけです。

    ③財産が20万円未満でも同時廃止にできない場合
    自己破産をするときには、「債務者に全く財産がない場合」でも「同時廃止にできない」場合があることに注意が必要です。
    債務者(破産者)に免責不許可事由がある(ことが疑われる)ときには、裁判所は「破産管財人を選任して調査させないと」裁量免責を与えることができないのです。

    個人の自己破産では、免責を得られなければ自己破産の意味がないことはすでに解説したとおりですから、免責不許可事由に該当する(疑いがある)ときには、破産管財人の報酬相当額(20万円以上)を工面しなければ、事実上自己破産できないということになります。

2、自己破産は「申し立て前の準備」が一番重要

裁判所で行われる手続きについては、申し立て後の流ればかりに目が行きがちですが、実際に自己破産で借金を解決するときには、「申し立て前の準備」がもっとも重要といえます。
申し立ての際に提出する書類の内容が十分でなければ、「同時廃止にできた事案が管財事件」となってしまうこともあり得るからです。

  1. (1)自己破産の申し立てに必要な書類

    自己破産の申し立てに必要となる書類は次のとおりです。

    • 破産手続き開始・免責許可申立書
    • 住民票(本籍記載のもの)
    • 委任状(代理人申し立ての場合)
    • 債権者一覧表
    • 資産目録
    • 報告書(陳述書)
    • 直近2ヶ月の家計状況を記した書類
    • 証拠各種(通帳の写し、給料明細書、源泉徴収票、退職金計算書、保険証書の写し、有価証券の写し、車検証の写し、不動産登記簿謄本、オーバーローン上申書など)

  2. (2)申立書類に不備があるとどうなるか?

    自己破産に限らず、手続きの申立書類を準備するときには、その手続きの目的や提出が求められている書面の意味を正しく理解することが重要です。

    手続きや書面の目的を理解しないまま、必要項目を埋めただけでは、こちらの意図が正しく裁判所に伝わらない可能性があるだけでなく、不備のある書類となってしまう可能性もあるからです。
    書類自体に不備があれば、自己破産の申し立てが受け付けられない(却下される)可能性があります。どこの裁判所であっても、「自己破産の本人申請は好ましくない」と考えていますので、窓口でかなり細かく指摘を受ける可能性が高いといえるでしょう。

    また、書類が不十分であれば、自己破産の申し立てが「棄却(自己破産の要件を満たしていないという判断)」されたり、「同時廃止決定を得られずに管財事件となってしまう」ことも考えられます。

    特に、素人の人が1人きりで債権者一覧表や資産目録を作成することは、リスクの方が高いといえます。借金や資産を見落としている(記載ミス)の可能性が高くなるからです。
    その意味で、法的な知識のない人が、自己破産の申立書類を自力で作成することは簡単なことではありません。

3、自己破産の手続きを自分で行えるのはどんなケースか?

裁判所の手続きはすべて「弁護士を付けずに本人が申し立てをする」ことが可能です。わが国は、「弁護士強制主義」を採用しておらず、「本人訴訟主義」を建前としているからです。

しかし、現実には、自己破産の手続きは、弁護士に依頼をして申し立てるものと基本的には考えておくべきです。
自己破産は失敗することが許されない手続きであるだけでなく、弁護士に依頼した方が手続き的なメリットも大きい場合が多いからです。

  1. (1)弁護士に自己破産を依頼するメリット

    弁護士に自己破産を依頼することは、難しいこと、面倒なことを任せることができるというだけではなく、自己破産手続きの上でも次のようなメリットがあります。

    • 同時廃止にしてもらえる可能性が高くなる
    • 管財事件となった場合でも予納金を安くすることができる
    • 東京地裁の場合には「即日面接」が利用できる(破産審尋に出席しなくてよい)
    • 破産手続き申し立て前に債権者の取り立てを停止し、返済も停止できる

    ①弁護士に依頼すれば同時廃止の可能性が高くなる
    個人の自己破産では、「同時廃止にしてもらえるかどうか」は、もっとも重要なポイントになります。同時廃止になれば、手続き上の負担・費用負担がかなり軽くなるからです。

    しかし、上でも解説したように「財産がないというだけで」簡単に同時廃止になるわけではありません。

    ②管財事件となった場合に予納金が安くなる
    自己破産を本人申し立てで行えば管財事件となる可能性が高くなるだけでなく、管財事件となった場合の予納金も高くなります。弁護士が付いている場合の管財事件よりも、本人申し立ての管財事件の場合の方が、破産管財人の負担が重くなるからです。

    一般的な基準額としては、本人申し立ての際の予納金は50万円といわれていますが、弁護士申請の場合の管財事件での予納金は20万円となります。

    ③東京地裁で即日面接が利用できるのは弁護士による申し立ての場合だけ
    東京地方裁判所では、破産事件の早期処理を目的に、申し立てから破産手続き開始決定までの期間を短くするために「即日面接」という運用を行っています。

    即日面接は、申し立てのあった当日(もしくは3日以内)に、裁判官が弁護士を面接し、破産要件の有無・同時廃止の可否を迅速に判断し、面接の翌週水曜日午後5時に破産手続開始決定を出すという運用スキームです(同時廃止の場合は、面接の当日の午後5時に開始決定が出ます)。

    この即日面接は、弁護士申請の場合にのみ利用できるので、弁護士に依頼をすれば、それだけで自己破産の手続きが1ヶ月(以上)早くなります(即日面接を利用しない場合には、申し立てから破産手続き開始決定までは約1ヶ月(以上)かかります)。

    ④弁護士に依頼すれば、自己破産申し立て前から取り立て・返済を止められる
    借金の返済に行き詰まったケースでは、債権者からの取り立てに悩んでいることも少なくありません。また、毎月の返済日に追われる生活に疲れ果てていることもあるでしょう。

    弁護士に自己破産を依頼すれば、自己破産申し立ての前から、債権者の取り立てや毎月の返済をストップさせることができます。

  2. (2)本人申し立てで自己破産できるケース

    上記で述べた弁護士に依頼するメリットは、そのまま本人申し立てのデメリットであるともいえます。
    言い換えれば、「本人申し立て自己破産をしても大丈夫なケース」というのは、弁護士に依頼しないデメリットが生じないケースといえるわけです。

    たとえば、次の条件がそろっているときであれば、弁護士に依頼せずに、本人申請を検討する価値もあるかもしれません。

    • 保有している財産が「誰の目で見ても20万円未満」であることが確実
    • 過去2年間のお金の動きを根拠に免責不許可事由に該当していないと確実に説明できる
    • 破産手続きの開始まで急がない(債権者からの取り立てを我慢できる)

    実際に、この条件をすべて満たしているケースというのは、あまり多くないと思われます。

  3. (3)弁護士費用の支払いに不安があるときの対処方法

    弁護士を付けずに自己破産の手続きをしたいと考える理由のほとんどは、「手元にお金がない」ということでしょう。

    しかし、弁護士に自己破産を依頼するときの費用(弁護士報酬)は、分割で支払うことも可能です。

    また、低所得者の場合には、法テラスや社会保険協議会から支援(立て替え払い・融資)を受けることも可能な場合があります。

    ほとんどの弁護士事務所では、自己破産の相談は無料で受けられるので、費用負担についても相談してみるとよいでしょう。

4、自己破産を検討している人はできるだけ早く弁護士にご相談ください

自己破産を検討する場面は、すでに借金が深刻になっている場合が多いといえます。借金が深刻になるほど、冷静でいられなくなる可能性も高くなります。

取り立てから逃れたい、とりあえず今日の返済日だけを何とか乗り切りたい、家族に知られたくないという気持ちが強くなり、慌てて対応するほど、状況は悪くなっていきます。
また、問題のある対応をすることで、免責不許可事由を抱えてしまうリスクも高くなります。

他方で、早期に対応できれば、自己破産以外の選択肢を残せる可能性も高くなります。

借金の返済が苦しいと感じたときには、できるだけ早く弁護士にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所では、これまで40万件の相談実績があり、借金で悩む多くの方に寄り添ってきました。債務整理の経験が豊富な弁護士が、丁寧に対応させていただきます。

5、まとめ

自己破産の手続きは「借金を帳消しにしてもらう手続き」、「同時廃止であれば自己破産の手続きは簡単」と思っている人も多いかもしれません。

しかし、自己破産は、無条件に借金を棒引きする手続きではなく、どんな案件でも簡単に同時廃止となるわけではありません。

実際の破産事件では、何かしらの免責不許可事由が疑われるケースが多く、弁護士が粘り強く裁判所と協議をした上で同時廃止を勝ち取った案件も少なくありません。

借金問題は、「早く対応する」ことが何よりも大切です。
「自己破産」という言葉が頭をよぎった際には、できるだけ早く弁護士に相談してみましょう。

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